
長野県富士見町は2025年9月9日付で、町内の太陽光発電所事業者「ミトヨテクニカル」(香川県観音寺市)に対して、土地造成や設置、事業に関する包括的な許可を取り消しました。同社が運営する発電所の敷地内に、産業廃棄物が不法に埋められていたことが発覚したためです。
この発電所は2024年4月に開発許可を得ましたが、工事完了届を提出しないまま事業を開始していました。このため富士見町は2025年2月26日、売電の停止や許可内容と相違する箇所について是正工事を求める勧告書を発出しました。3月25日には売電が停止されていることが確認されましたが、5月26日に孫請けの工事業者から違法工事に関する情報提供があり、県警や県とともに同年8月に現地調査を実施しました。
調査の結果、敷地内の砂利を敷き詰めた排水設備(トレンチ)下に約3・4トンに上る、産業廃棄物として未処理の木の根や枝が見つかったほか、別の場所には太陽光パネル約49キロが埋設されていたことが判明しました。これらは申請時に報告されていない違法な埋設物であり、産業廃棄物処理のルールに大きく反する行為として問題視されています。
町は行政手続法に基づく聴聞や事業者側の弁明内容の確認などの手順を経て、許可取り消しの通知を送付しました。一方、同社は取材に対し「工事会社に任せているので、こちらではわからない」とコメントしています。この対応について、町は法令違反や環境リスクを放置することは地域住民の信頼を損なうとして、事業者の主張よりも法令と条例に基づいた厳正な対応を優先しました。
産業廃棄物はその処理方法や最終処分場所が法律で厳しく定められており、適切な処理が行われない場合、土壌や地下水の汚染リスクが生じます。地中埋設は法令上の処分基準を満たしていない可能性があり、放置すれば地域環境への悪影響が懸念されます。この事件は、太陽光発電所の建設や運営に関する適切な管理の重要性を改めて浮き彫りにしています。
2030年代の大量廃棄問題への懸念と業界全体の課題
この事件は単なる違法投棄の問題以上に、太陽光発電業界全体の持続可能性に関する重大な懸念を提起しています。経済産業省の資料によると、2030年代後半以降、寿命を迎える太陽光パネルが大量に排出され、年間50~80万トンに達すると予測されています。特に2034~2036年にかけては最も多くのパネルが廃棄されるピークを迎えるとされ、環境省の試算でも年間約17~28万トンの使用済みパネルが排出されるとの予測が示されています。
現在、廃棄された太陽光パネルは産業廃棄物として分類され、リユース、リサイクル、最終処分のいずれかの経路を辿ります。しかし、今回のような違法埋設事件が発生した背景には、適切な処理コストや手続きの煩雑さ、そしてモニタリング体制の不備があると指摘されています。太陽光パネルは鉛やカドミウムなどの有害物質を含む可能性があり、適切な処理が求められます。
富士見町の毅然とした対応は、単なる事後対応に留まらず、今後の再エネルギー政策における重要な先例となる可能性があります。町は開発許可取り消しを通じて、地域の環境と住民の安心を守る姿勢を明確に示しました。政府は2050年のカーボンニュートラル及び2030年の再エネ比率36~38%の目標を掲げており、太陽光発電設備の積極的な導入が必要な一方で、廃棄・リサイクルへの対策も急務となっています。今回の事件を契機に、事業者の責任体制や監督制度の強化、違法行為に対する厳格な処分の在り方について、全国的な議論が求められる状況です。








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