
東京商工リサーチの調査で、ポスターやチラシなど印刷物を手掛ける「広告制作業」の倒産が急増していることが明らかになりました。 2025年度(2025年4月〜2026年1月)の倒産件数は10カ月で39件と、前年同期から21.8%増え、2016年度以降の同期間で最多となっています。 このペースが続けば、過去最多だった2017年度の48件を上回る可能性も指摘されており、アナログ広告を主力とする中小事業者の苦境が際立つ形です。
調査対象となったのは、日本標準産業分類で「広告制作業」に分類される企業のうち、負債1000万円以上で法的整理に至ったケースです。 倒産原因では「販売不振」が27件と全体の約7割を占め、需要減少と価格競争の激化が直撃している実態が浮き彫りになりました。 このほか、「既往のシワ寄せ」が7件、「他社倒産の余波」が2件と、コロナ禍後の資金繰り悪化や取引先の経営悪化も影響しています。
形態別では「破産」が38件と約9割を占め、再建型の手続きに進めないケースが大半となっています。 負債額別では「1億円未満」が36件と9割超を占め、小規模事業者の倒産が中心です。 東京商工リサーチは、デジタル広告へのシフトが加速する中で、印刷物中心の広告制作会社が受注減とコスト上昇の板挟みとなり、「構造不況」の色合いを強めていると分析しています。
デジタル・AI対応の遅れが鮮明に 業界再編の可能性も
背景には、広告市場全体のデジタルシフトと生成AIなど新技術への対応格差があります。ITmediaビジネスオンラインは、ネット広告や動画広告の需要が拡大する一方、ポスターやチラシなど紙媒体を主力とする企業は、営業先の縮小と単価下落に直面していると伝えています。 特に、デザインやコピー制作の現場で生成AIツールの活用が進む中、投資余力に乏しい小規模事業者では人手依存の業務プロセスから脱却できず、収益性の改善が遅れていると指摘されています。
また、コスト面では、紙代や印刷コスト、光熱費などの上昇が続き、価格転嫁が進まないことが収益を圧迫しています。 地域別に見ると、関東エリア、なかでも広告需要が集中する東京都で倒産が多く、都市部の競争激化が小さな制作会社を追い込んでいる状況です。 一方で、東京商工リサーチは、大手広告会社やデジタル領域に強みを持つ制作会社がシェアを拡大する可能性を指摘し、今後はM&Aや事業提携を通じた再編・集約の動きが加速するとの見方も示しています。
広告制作業界が持続的に存続していくためには、オンライン広告やSNS運用、データ分析などとの連携を強化し、ビジネスモデルそのものを転換していくことが求められています。 中小事業者にとっては、生成AIを含むデジタルツールを費用対効果を見極めながら段階的に導入し、付加価値の高い提案型サービスへと転じられるかどうかが、生き残りの鍵となりそうです。








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