
日本生命保険の米国法人が、対話型生成AI「ChatGPT(チャットGPT)」を提供する米OpenAI(オープンAI)を相手取り、米イリノイ州シカゴの連邦地裁に損害賠償を求める訴訟を起こしたことが明らかになりました。日本時間5日までに判明したもので、訴状は4日付で提出されたとされています。訴えによると、弁護士資格を持たないChatGPTが法的助言を行った結果、日本生命側が不当な訴訟対応を余儀なくされ、多額の費用と時間的損失が生じたと主張しています。請求額は弁護士費用など実損分約30万ドルと、同様の行為を抑止するための懲罰的損害賠償1000万ドルの合計約1030万ドル(約16億円)に上るとされています。
訴状によると、日本生命の障害保険の元受給者は、保険金給付打ち切りを巡り日本生命側といったん和解していましたが、その後ChatGPTからの助言を受けて和解の破棄を試み、裁判所に多数の文書を提出したといいます。和解破棄の申し立て自体は裁判所に却下されたものの、この元受給者は別の訴訟手続きの中で日本生命を新たに被告として加え、日本生命側は「終結したはずの紛争が蒸し返された」と主張しています。日本生命は、ChatGPTが具体的な文書作成や訴訟戦略の提示を通じて法的サービスを提供したことが、イリノイ州で禁止されている無資格での法律業務(いわゆる「非弁行為」)に該当すると指摘し、「ChatGPTは弁護士ではない」と訴状で明記しています。
対話型AIを通じた無免許の弁護士業務を理由に、主要なAI企業が提訴されるのは初めてのケースとなる可能性があると報じられています。生成AIは既に契約書レビューや社内規程の作成支援など法務分野で幅広く活用される一方、誤った助言や責任の所在を巡る議論が国内外で高まっています。日本でも、弁護士法が禁じる非弁行為との関係を踏まえ、法務省がリーガルテックサービスに関する指針運用の見直しを進めるなど、AIの法務利用に対するルール整備が課題になってきました。今回の訴訟は、AIがどこまで「法律業務」を担えるのか、またAI提供企業がどの範囲まで法的責任を負うべきかという国際的な議論にも影響を与えそうです。
法務分野で広がる生成AI活用、ルール整備と責任の線引きが焦点に
今回の訴えで日本生命側は、OpenAIに対し損害賠償だけでなく、AIによる法律業務の差し止めも求めていると報じられています。一方のOpenAIは、「訴えにはいかなる根拠もない」として争う姿勢を示しているとされ、訴訟は長期化する可能性があります。生成AIを用いた法的アドバイスは、既に企業や個人が身近に利用するサービスとなっていますが、今回のケースのように、AIの出力を信頼した利用者が訴訟行動に踏み切り、その結果として第三者が損害を被ったと主張する構図は、今後別の分野にも波及し得ます。
日本国内でも、日本国内でも、企業の7割超が何らかの業務で生成AIを活用しているとの調査結果が報じられており、法務分野でも契約書チェックや法務相談の一次対応などで導入が進む一方、コスト削減や業務効率化のメリットが注目される一方、誤情報や責任の所在をどう管理するかが大きな課題となっています。弁護士法が禁じる非弁行為との線引きについては、AIサービスがどの範囲まで「助言」とみなされるか、ユーザーへの注意喚起や免責条項をどう設計するかなど、技術と法制度の両面での再検討が避けられません。今回の日本生命による提訴は、AIの利便性とリスクをどうバランスさせるかというテーマを、企業のコンプライアンスやガバナンスの中心課題として浮かび上がらせた事例ともいえます。今後の訴訟の行方は、AIを活用する企業や開発事業者にとって、リスク管理やサービス設計を見直す重要な材料となりそうです。












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