中東緊迫でWTIが高騰 ホルムズ封鎖懸念が原油市場を揺さぶる

中東緊迫でWTIが高騰 ホルムズ封鎖懸念が原油市場を揺さぶる

米国の指標原油であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格が、3月9日に一時1バレル111ドルまで急騰しました。中東情勢の緊迫化により、湾岸地域の原油輸送網が軍事衝突に巻き込まれるリスクが意識され、市場で供給不安が強まっているためです。

WTIは米国・イスラエルによるイラン攻撃前の2月末には1バレル67ドル程度にとどまっていましたが、その後急騰し、短期間で6割超の上昇となりました。

背景には、ホルムズ海峡をめぐる緊張の高まりがあります。イラン革命防衛隊の幹部は3月2日、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡を「封鎖した」とし、通過しようとする船舶を攻撃すると国営メディアを通じて警告しました。

革命防衛隊は周辺で石油タンカーへの攻撃を繰り返しており、同海峡は事実上の封鎖状態と報じられています。日本を含む世界のエネルギー輸入国にとって、原油やLNGの輸送航路が脅かされる事態は、直接的な価格上昇圧力となっています。

IEA(国際エネルギー機関)は3月12日に公表した報告書で、米国・イスラエルとイランの軍事衝突後、中東湾岸諸国の石油生産量が少なくとも日量1000万バレル減少したと分析しました。これは世界の石油需要の約1割相当です。

サウジアラビア、UAE、イラク、カタール、クウェートなどで供給を減らす動きがみられ、ホルムズ海峡の事実上の封鎖で原油輸送が滞り、湾岸産油国では生産削減を余儀なくされる状況になっていると指摘されています。

各国は価格高騰を抑えるため戦略備蓄の放出で対応しています。IEAは3月11日、加盟32カ国が計4億バレルの石油備蓄を協調して放出することで合意しました。ただIEAは、協調放出は重要な緩衝材としつつも、安定供給には海峡を通る船舶の航行再開が不可欠だと強調しています。

ホルムズ封鎖長期化なら高値定着も 産油国・消費国に広がる打撃懸念

IEAは今回の事態を「史上最大級の供給混乱」と評しており、中東からの減産分はロシアやカザフスタンの増産で一部相殺されるものの、全体としての供給減少は避けられないと分析しています。

日本政府は高市早苗首相の指示のもと、IEAの協調放出に先立ち単独での備蓄放出も決定し、民間備蓄15日分と3月下旬以降の国家備蓄1カ月分、計約8000万バレルを放出する方針です。

消費国側では、ガソリンや電気料金の上昇を通じて家計や企業収益が圧迫されています。市場が最も注視しているのは、ホルムズ海峡の封鎖状態がどこまで続くのかという点で、IEAは輸送が速やかに再開されない限り供給の落ち込みはさらに拡大すると警告しています。

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