
トランプ米政権は、米AI企業アンソロピックの最新AIモデル「ミュトス(Mythos)」を主要な連邦政府機関で利用できるようにする方向で調整していると報じられています。ミュトスはソフトウエアの脆弱性を高精度で発見できる一方、サイバー攻撃への悪用リスクも懸念されており、安全保障上の対応が急務となっています。
アンソロピック共同創業者のジャック・クラーク氏は4月13日、ワシントン開催のイベントで、トランプ政権とミュトスについて協議していることを明らかにしました。
国防総省との対立については「限定的な契約上の問題」と述べ、国家安全保障を深く重視する姿勢に変わりはないと強調。「政府はこうした技術について知る必要がある。ミュトスについて政府と話し合っている」と語りました。ただし、各機関が実際にアクセス権を得るかどうか、提供時期や利用方法の具体的なスケジュールは示されていません。
ミュトスは4月7日にアンソロピックが発表した新型モデルです。主要OSやウェブブラウザに存在する数千件にのぼる重大な脆弱性を発見できるとされ、アンソロピックはそのうち99%以上がまだ修正されていないと指摘しています。
一般公開はせず、「プロジェクト・グラスウィング(Project Glasswing)」と呼ばれる枠組みのもと、マイクロソフト、アップル、グーグルなど40以上の組織に限定提供。参加する企業や組織は、自社システムの脆弱性を洗い出す防衛目的での活用を進めています。
今回の調整には重要な背景があります。アンソロピックは今年初め、国防総省から「サプライチェーンリスク」に指定され、軍事関連の政府契約から排除されました。同社はこれを不当として連邦裁判所に提訴し、使用停止命令の差し止めを勝ち取っています。国防総省との対立が続くなかで政府利用の調整が進むのは、ミュトスの技術的優位性を評価する声が政権内でも根強いためです。
ミュトスの発表後、米サイバーセキュリティー関連株が大幅に売られました。パロアルトネットワークスが約12%、アカマイが約20%、クラウドストライクが約11%下落しました。
「ミュトス」が問うAIガバナンスの行方 攻防両面で高まるリスク
今回の動きが示すのは、AIが「攻撃の矛」と「防御の盾」の双方を同時に加速させるという新たな構図です。ミュトスのような高度なモデルを防衛目的に活用する一方で、悪用防止に向けた管理体制の整備が課題となっています。
米政権がミュトスの政府利用に踏み切れば、その評価基準や運用ルールが国際的なAIガバナンス議論の指標となる可能性があります。クラーク氏は「数カ月以内に他社から同様のモデルが登場し、1〜2年後には中国からも同等の能力を持つオープンモデルが出てくる」と警告。攻めと守りが同じモデルに宿る時代への備えが問われています。


-150x112.jpg)







の看板-280x210.jpg)

-300x169.jpg)