宇宙から見た地球の10年と未来への思い 油井亀美也宇宙飛行士が帰国後初会見

ISS(国際宇宙ステーション)での約5カ月間の長期滞在を終え、2026年1月に地球へ帰還したJAXA(宇宙航空研究開発機構)の油井亀美也宇宙飛行士が4月9日、帰国後初となる記者会見を東京で開きました。2015年以来2回目の滞在となった今回のミッションで、宇宙滞在日数は通算300日を超えました。
会見では、多国籍クルーとの共同生活を大成功させる秘訣が語られました。NASA(米航空宇宙局)のジーナ・カードマン船長やマイケル・フィンク飛行士、ロシアのオレグ・プラトノフ飛行士らとともにクルードラゴンでISSへ向かった油井さんは、到着後すぐに「お互いに気をつけること」をメモにまとめて掲示しました。文化や国の言葉の違いを単なる違いとして理解し、互いをリスペクトし合うことが鍵だったと振り返っています。
ミッションのハイライトの一つとして挙げられたのは、日本の新型補給機「HTV-X」をロボットアームで把持した瞬間です。金色の美しい機体が迫る様子に感動したと語り、使い終わった何百キログラムもある大型実験ラックをそのまま積載して廃棄できる能力や、柔軟な設計が国際的にも高く評価されていると説明しました。また、「きぼう」日本実験棟では、二酸化炭素除去システムの実証などに貢献しています。
さらに、10年ぶりの宇宙から観察した地球の変化にも言及しました。「10年前よりも発展した国は明らかに明るくなっている」と述べる一方で、台風の勢力が強まったように感じたことや、地球上の紛争が爆撃などの「光」として明確に確認できたことに触れました。貧富の差も電灯の光を通して見えたと語り、「助け合う文化が広がれば、宇宙から見える人間の仲が悪い部分も減るのではないか」と平和への強い願いを口にしました。余暇に撮影した数十万枚もの写真のなかでも、2025年9月8日の皆既月食の写真は、人類の次の目標である月を捉えたものとして特にお気に入りだと語っています。
次世代月探査への思いと日本の宇宙開発へのエール
会見の後半では、NASAが主導する国際有人月探査「アルテミス計画」への思いが明かされました。月に降り立つ日本人は現在6人いるJAXA宇宙飛行士から選ばれますが、油井さんは「若手をいかに育てて日本を代表して月に送り込むかを頑張りたい」と後進の育成に力を込める一方で、「危険だから若い人は行かせられないというなら喜んで行く」と、自身が月へ向かうことへの強い意欲も垣間見せました。
また、2030年に運用終了予定だったISSが32年まで延長される可能性について触れ、懸念されている老朽化に関して「10年ぶりに行きましたが、明らかに老朽化している感じではなく、二酸化炭素のレベルも低くむしろ環境は快適になっている」と、実際の居住性の高さを報告しました。最後に、ロケット打ち上げ失敗などの困難に直面している日本の宇宙開発に対して、「諦めなければ悪かった結果も自分の成長のために必要だったと思えるようになる」と熱いエールを送りました。現在の一見悪く見える状況を次にどう活かすかが重要だと語り、宇宙開発に携わる一員としての強い責任感を示して会見を締めくくりました。









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