
信越化学工業は、主力のシリコーン製品について国内外で一斉に値上げに踏み切ります。 同社は4月17日、シリコーン事業本部が取り扱う全てのシリコーン製品を対象に、5月1日出荷分から販売価格を10%以上引き上げると発表しました。 値上げ幅は製品ごとに異なりますが、全品目で最低10%以上となる方針です。
背景には、中東情勢の悪化を起点とした原油価格やナフサの急騰があります。 同社は、原油由来の原材料価格が短期間で大きく上昇しているほか、製造に要するエネルギー費や包装資材費、物流費など幅広いコストが増加しており、収益を圧迫していると説明しています。 これまでも製造コスト削減などの自助努力を続けてきましたが、「今回のコスト上昇分を吸収することは困難」と判断し、価格改定に踏み切ったとしています。
シリコーンは、自動車のパッキン・シール材や電子機器の絶縁材、建材用シーリング材、さらにはシャンプーや化粧品、調理器具のコーティングなど、幅広い分野で使われる基礎素材です。 信越化学工業は国内シリコーン市場でシェア1位、世界でも上位に位置する大手メーカーであり、その価格改定は多くの産業分野や日用品のコスト構造に影響を与える可能性があります。 すでに建材や塗料など他の石油関連製品でも値上げや出荷制限の動きが出ており、今回の決定は原材料市況の変動が最終製品価格に波及する流れを象徴する事例と言えます。
同社は、需要家に対して足元の厳しい事業環境への理解を求めるとともに、価格改定への協力を要請していく考えです。 一方で、供給の安定確保と品質維持に努めるとし、今後も状況を見ながら対応を検討するとしています。
自動車・電子機器・建材など幅広い産業でコスト増懸念
今回の値上げは、シリコーンを使用する自動車、電子機器、建材、化粧品など多様な産業に影響が及ぶ可能性があります。 自動車分野では、エンジン周りの耐熱ゴム部品や車載電子機器の絶縁材などにシリコーンが広く使われており、部品メーカーのコスト上昇が車両価格やアフターパーツ価格に波及するリスクがあります。 電子機器でも、半導体封止材や熱対策材料としての用途が多く、素材価格の上昇が製品の採算に影響する可能性があります。
建設・住宅分野では、外壁や窓枠のシーリング材、屋根・外装の防水材などにシリコーンが使用されており、すでに断熱材や塗料などの値上げが進む中で、工事費用の一段の上昇要因となり得ます。 日用品や化粧品分野では、シャンプーやトリートメント、スキンケア製品、フライパンやキッチン用品のコーティングなどにもシリコーンが含まれており、生活者の身近な製品価格に徐々に反映される可能性があります。
中東情勢を背景とした原油・ナフサの高騰は、他の石油化学製品や物流コストにも広く波及しており、日本企業の間では受注停止や出荷制限、値上げの動きが相次いでいます。 政府はナフサなどの国内供給量自体は十分と説明する一方で、流通過程で「目詰まり」が生じているとし、企業の価格改定が相次ぐ現状への対応が課題となっています。 信越化学工業のシリコーン値上げは、こうした国際情勢と原材料市況の変動が日本の製造業や消費者物価にどのように波及していくのかを占う試金石として、市場関係者や需要家から注視されています。












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