STARTO社チケット転売巡る東京地裁判決 日本で初めて「興行主への権利侵害」と認定

STARTO社チケット転売巡る東京地裁判決 日本で初めて「興行主への権利侵害」と認定

STARTO ENTERTAINMENT(STARTO社)が、自社タレントが出演するコンサートチケットの転売を巡り、東京地方裁判所が「転売出品は興行主に対する権利(営業権)の侵害に当たる」と判断した日本初の判決が出たと明らかにしました。判決は2026年3月18日に東京地裁で言い渡されたもので、STARTO社と協力関係にあるコンサート主催会社・株式会社ヤング・コミュニケーション(YC社)が関与する訴訟において示された判断です。

YC社は、チケット転売サイト「チケット流通センター」を運営する株式会社ウェイブダッシュに対し、同社が主催する公演のコンサートチケット(特定興行入場券)を巡って、発信者情報開示や転売出品削除などを求める法的手続きを進めてきました。

2025年3月には、東京地裁がウェイブダッシュ社に対し、「正規購入者本人しか利用できないチケットの転売出品はYC社の営業権を侵害する」として、16件の転売出品に関する発信者情報開示命令を出しており、この決定が日本で初めて、コンサートチケット転売行為を権利侵害と認めた司法判断とされていました。

しかし、ウェイブダッシュ社はこの命令を不服としてYC社を被告に異議を申し立て、手続きは通常の民事訴訟に移行しました。今回の判決で東京地裁は、YC社側の主張を改めて認め、「チケットの転売出品によりYC社の権利(営業権)が侵害されたことは明らか」と判断し、2025年3月の発信者情報開示命令の正当性を肯定しました。この結果、チケット転売出品がコンサート主催者に対する権利侵害であると判決の形で認定された日本初の事例となりました。

STARTO社は公式サイトで、正規購入者本人しか利用できないチケットを第三者が取得して使用することは、本来入場資格のない人物が不正に入場する行為であり、「主催者を欺いて入場する行為自体が犯罪にも該当しうる違法行為」との見解を示しました。そのうえで、このような不正入場を引き起こしうる転売出品行為自体を、イベント主催者に対する権利侵害と判断した今回の判決は「当然の帰結である」と強調しています。

ウェイブダッシュ社への対応と今後のチケット不正転売対策

YC社はこれまで、ウェイブダッシュ社に対し、サイト上に掲載された転売出品の任意の情報開示や削除を再三求めてきましたが、同社は「法的根拠がない」などとして応じず、対応を拒んできたと説明しています。一方で、ウェイブダッシュ社は、正規購入者本人しか利用できないチケットを第三者に不正転売する仲介を恒常的に行うことで、多額の利益を上げていると指摘されています。

YC社は、こうした事業モデルの正当性そのものを問うため、ウェイブダッシュ社を被告とする不当利得返還請求訴訟も提起していると明らかにしました。今回の東京地裁判決は、発信者情報開示命令の正当性を認めたものですが、チケット転売サイトの運営実態に対する法的責任の範囲や、不当利得の有無など、今後の訴訟でさらに議論が深まる可能性があります。STARTO社は、健全なエンターテインメントの興行環境を維持し、一人でも多くのファンに適正な方法でチケットを届けるため、今後もYC社と協力しながら、さまざまなチケット不正転売対策を進めていく方針です。

チケット高額転売や不正入場を巡っては、各地で刑事・民事の両面からの取り締まりや訴訟が進む中、今回のように「興行主の営業権侵害」と明確に位置づける司法判断が示されたことで、今後、他の興行主やアーティスト側による法的対応が広がるかどうかも注目されています。

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