
新潟県内で、警察官を名乗る電話の後に「逮捕状」と書かれた文書がレターパックで自宅に届くという、新たな特殊詐欺の手口が確認されています。新潟県警によりますと、2026年4月2日、新潟県内に住む80代の女性の自宅に、警察官を名乗る人物から「捕まえた暴力団員が、共犯者のあなたに現金400万円を渡したと話している」といった内容の電話がかかってきました。女性は「身の潔白を証明するため」などと説得され、住所や金融機関の口座番号、暗証番号などを相手に伝えてしまったということです。
その数日後の4月6日、女性宅にはレターパックに入った「逮捕状」と書かれた文書が郵送されましたが、不審に思った家族が警察に相談したことで詐欺と判明し、金銭的な被害は防がれました。県警は4月に入ってから、同様の「偽の逮捕状」が郵送されるニセ警察詐欺に関する相談を複数把握しており、「警察が逮捕状をレターパックで郵送することは絶対にない」と強調し、注意を呼びかけています。また、逮捕状を事前に本人に送付すれば逃走や証拠隠滅の恐れがあるため、そもそも現実の捜査実務としてもあり得ない手続きだと説明しています。
新潟県内では、特殊詐欺被害の深刻化が続いています。県警が公表した2025年の特殊詐欺等の被害発生状況によると、県内の被害件数は293件、被害額は14億5260万円に上り、過去最悪となりました。背景には、警察官などを装い「捜査」名目で金をだまし取る「ニセ警察詐欺」の増加があり、被害額の約7割をこの手口が占めたとされています。従来は電話でのやり取りが中心でしたが、近年は通信アプリで偽の警察手帳や捜査書類の画像を送りつけて信用させるケースが増えており、高齢者だけでなく、若い世代にも被害が広がっているのが特徴です。
県警は、「警察官を名乗る人物からの電話を受けた場合は、必ず相手の名前や所属を聞き、一度電話を切ってから、改めて警察署の代表番号などに問い合わせてほしい」と呼びかけています。また、通信アプリで警察手帳や逮捕状などの画像が送られてきたり、自宅に逮捕状が郵送されてきたりした場合は、それ自体が詐欺のサインであり、直ちに最寄りの警察署や家族に相談するよう求めています。
「ニセ警察詐欺」拡大の背景と求められる対策
「ニセ警察詐欺」は、特殊詐欺の中でも特に被害額が大きい手口として全国的に問題となっており、新潟県内でも2023年ごろから急増してきました。新潟県警の集計では、2025年の特殊詐欺の被害額は14億円超と過去最多で、その大部分を警察官や捜査機関を名乗る詐欺が占めているとされています。犯行グループは、実在の警察署名や事件名をかたり、「あなたの口座が犯罪に使われている」「身の潔白を証明する必要がある」といった名目で、口座情報やキャッシュカードを聞き出したり、現金を振り込ませたりするのが典型的な流れです。
最近では、電話での接触だけでなく、SNSや通信アプリで連絡を取り合いながら、偽の警察手帳や逮捕状の画像を送って信用させる巧妙なケースが各地で報告されています。新潟県内でも、こうしたデジタルツールを組み合わせた手口の相談が寄せられており、警察は「手帳や逮捕状を通信アプリで見せたり郵送したりすることはない」と繰り返し注意喚起を行っています。一方で、被害全体に占める65歳以上の高齢者の割合は減少傾向にあるものの、依然として約半数を占めており、デジタル機器に慣れていない層だけでなく、情報リテラシーがあるとされる若い世代にも被害が及びつつあるのが現状です。
新潟県警は2026年4月の警察署長会議で、複雑化・巧妙化する特殊詐欺への対策強化を指示し、検挙と被害防止の両面で取り組みを強める方針を示しました。専門家や捜査関係者は、「警察を名乗る電話やメッセージでお金や口座情報の話になったら、それだけで詐欺と疑ってよい」と指摘し、家族や地域で日頃から情報を共有し、少しでも不審に感じたら一人で判断せず警察などに相談する習慣づくりが重要だと訴えています。




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