ヘッジファンド、中東情勢の緊迫化でコロナ禍以来の大幅損失を記録 金利急騰が直撃

世界の金融取引

世界を揺るがす中東情勢の緊迫化により、ヘッジファンド業界が未曾有の苦境に立たされています。米国・イスラエルとイランの軍事衝突という予期せぬ事態に直面し、ヘッジファンドは大きな打撃を受けました。特にこの3月は、世界経済が新型コロナウイルスのパンデミックによって急減速した2020年3月以来となる、過去最大級の損失を出す結果となりました。米調査会社のヘッジファンド・リサーチ(HFR)が算出する主要指数は、前月比で約3%下落し、これは過去6年間で2番目に大きな下げ幅となっています。

市場は当初、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期の利下げを確信していましたが、戦闘の激化とともにインフレ懸念が再燃し、一転して「複数回の利上げ」を織り込む極めて異例の展開となりました。この急激なシナリオ変更により、多くのファンドが「スティープナー取引」と呼ばれる、長短金利差の拡大を見越した戦略で甚大な損失を被りました。さらに、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖懸念から、原油価格が一時1バレル110ドルを超えるなど、相場の激しい乱高下が運用担当者を翻弄しました。

ドナルド・トランプ氏などの有力政治家によるSNSへの投稿も、市場の不確実性を一層高める要因となりました。イランへの強硬姿勢から一転して攻撃停止への言及がなされるなど、情報の錯綜が原油先物の急落や債券相場の反発を引き起こし、運用の舵取りを困難にしています。ベテランの運用担当者からも「40年間のキャリアの中で、これほど先読みが不可能な状況は初めてだ」との悲鳴が上がっています。

巨頭シタデルらも防戦一方、マクロ系ファンドを襲う金利急騰の衝撃

今回の市場混乱は、リスク分散の象徴である「マルチマネジャー型ヘッジファンド」の巨頭たちにも深刻な影を落としています。関係筋によると、ケン・グリフィン氏率いる米シタデルや、イジー・イングランダー氏の米ミレニアム・マネジメントなど、業界を牽引する大手勢の主力ファンドが3月、軒並み数パーセント規模の下落に見舞われた模様です。

特に、ドミトリー・バリアズニー氏が率いる米バリアズニー・アセット・マネジメントを含む複数の中核チームでは、2024年の混乱時を彷彿とさせる、あるいはそれを上回る歴史的なドローダウン(資産の減少)が観測されています。

損失の主因は、経済統計に基づく債券や為替の売買を行うマクロ系戦略の破綻です。英ロンドンのカクストン・アソシエイツやブレバン・ハワードといった名門ファンドも、想定外の金利急騰によって防戦一方の展開を強いられました。通常、有事の際に「安全資産」とされる金(ゴールド)でさえも、今回の極端なボラティリティの前では十分なヘッジ機能を果たせず、既存の運用モデルの限界を露呈する形となっています。

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