
パスポートの申請手数料を大幅に引き下げる改正旅券法が24日、参院本会議で全会一致により可決・成立しました。改正法は2026年7月1日に施行され、18歳以上が有効期間10年のパスポートをオンライン申請する場合の手数料は、現在の1万5900円から44%安い8900円になります。窓口申請の場合も、10年用は今より7000円安い9300円となり、オンライン申請に対する400円の割引措置は引き続き維持されます。18歳以上向けの5年用旅券は廃止され、成人の旅券は10年用に一本化されます。
未成年についても手数料が大きく見直されます。12歳以上18歳未満では、オンライン申請の5年用パスポートの手数料が現在の1万900円から4400円へと、約6割引き下げられます。12歳未満の場合も、5900円から4400円へと減額されます。外務省は旅券手数料改定に関する資料で、新たな料金体系を7月1日午前0時から適用する方針を示しており、政令で詳細な額が定められる見直しです。
背景には、日本人のパスポート保有率の低さがあります。外務省が公表した2025年の旅券統計によると、2025年末時点の有効一般旅券数は約2193万冊で、総人口に占める保有率はおよそ17〜18%にとどまっています。一方、日本旅行業協会などの調査では、米国や英国、台湾などの保有率は4〜6割台とされ、日本の水準は国際的に見ても低いと指摘されています。茂木敏充外相は会見で「若者層をはじめとする国民の海外渡航を通じた国際交流の促進につながることを期待している」と述べ、自民党内でも特に若年層の取得を後押しすべきだとの声が上がっていました。改正法の付則には、施行から3年をめどに効果検証と見直しを行い、さらなる引き下げも探る方針が盛り込まれています。
出国税引き上げと円安で揺れる海外旅行需要
一方で、パスポート手数料の財源確保に向け、日本を出国する際に課される「国際観光旅客税(出国税)」は、2026年7月出国分から1回あたり1000円から3000円へと3倍に引き上げられます。政府は、増収分を旅券手数料の引き下げに加え、オーバーツーリズム対策や邦人保護体制の充実などにも充てる方針です。今後は「安くなるパスポート」と「高くなる出国コスト」の両面が、海外旅行の行動にどう影響するかが焦点となります。
海外旅行需要には、手数料だけでなく円安も重くのしかかっています。外務省が公表した旅券統計によると、2025年の旅券発行数は約361万冊と前年比5.3%減少しており、新型コロナウイルス禍前の2019年の約436万冊と比べても回復しきっていません。為替相場では、2022年初めに1ドル=115円前後だった水準が、その後160円近くまで急速に円安が進行しました。JTBが発表した2026年の旅行動向見通しでは、2026年に海外旅行に「一度も行かない」と答えた人の理由として、「円安だから」が21.2%で3番目に多く、費用負担への懸念が根強いことが示されています。
日本人のパスポートは依然として世界有数の渡航自由度を持ちながら、保有率は「6人に1人」程度にとどまるとの指摘もあります。今回の手数料引き下げと出国税引き上げは、こうした「宝の持ち腐れ」状態を改善しつつ、観光財源を確保するねらいがあります。円安や物価高で海外旅行をためらう人も多いなか、新制度が若年層を中心にパスポート取得と海外渡航への一歩を踏み出すきっかけとなるのかが問われています。












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