
23日に開かれた財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)の分科会で、財務省は大学医学部の定員について「大胆な削減に踏み切るべきだ」と提言しました。人口減少が進むなか、医師の需給は2029〜2032年ごろに均衡し、その後は過剰になることが「確定的」との認識を財務省が示したもので、医療分野の人材供給をめぐる議論が大きな局面を迎えています。
財務省は分科会で、人口当たりの医師数が増加傾向にあることを指摘しました。外来患者数の減少などを背景に医療需要は今後縮小するとも説明しています。現在、医学部の入学定員は9,000人台です。厚生労働省の推計では、この水準が続けば2030年代前半に医師の需給が均衡し、その後は人口減少に伴い供給過剰になるとされています。
地域偏在を踏まえ、財政審は医学部だけでなく歯科学部や薬学部についても「既に関連学部の定員が多すぎる」と指摘し、他学部との適正な人材配分の観点から定員削減が必要だと主張しました。
一方、医師が都市部に集中するなか、地方では不足しており、地域間の偏在が課題となっています。偏在対策が不十分なまま定員だけを削減すれば、脆弱な地域から医療が崩壊しかねないとの懸念もあり、単純な定員削減だけでは地域医療の持続性を確保できないとの見方も出ています。
医師偏在対策と定員削減、どう両立させるか
23日の分科会では、医師数が全体として過剰に向かうとの見方と、地域偏在の解消をどう両立させるかが議論の焦点となりました。財務省側は、今後の医師の労働時間規制や他職種への業務移管(タスクシフティング)を進めても医師過剰は避けられないとして、定員の段階的削減を早期に決定する必要性を強調しました。
しかし地域医療の現場からは、都市部と地方、診療科ごとの偏在を是正しないまま定員だけを削減すれば、医師の偏在がさらに強まり、脆弱な地域から医療崩壊が起きかねないとの懸念も示されています。財政審からは「量の調整」と「偏在対策」を一体で進めるべきとして、医学部定員の削減と地域医療の確保策をセットで検討するよう求める声も上がりました。
少子化が進む日本では、限られた若年層をどの分野にどれだけ振り向けるかという社会全体の人材戦略が問われています。国民がどこに住んでいても必要な医療にアクセスできる体制を維持するため、医学部定員のあり方をめぐる議論は今後も続くでしょう。









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