
大和証券グループ本社は4月27日、オリックス銀行を今年10月までに約3700億円で買収し、完全子会社化すると発表しました。買収は子会社の大和ネクスト銀行を通じて実施し、将来的には両行を合併させる方針です。
大和ネクスト銀行は融資機能を持たず、これまで主に市場運用によって成長してきました。不動産ローンが強みのオリックス銀行を取り込むことで、貸出ビジネスを本格展開する体制に転換します。統合後の総資産は単純合算で約9兆円規模、自己資本は約4000億円規模となる見通しで、ネット銀行としては楽天銀行、住信SBIネット銀行に次ぐ上位クラスの規模です。
買収資金は自己資本で賄われ、グループとしては過去最大級の投資となります。大和証券グループの吉田光太郎CFOは決算会見で、「金利のある世界の到来により、より魅力的な金利を提供することが預金獲得の鍵となる」と指摘し、ウェルスマネジメント事業の強化を成長戦略の中核に据える姿勢を強調しました。
同社は2024年にあおぞら銀行へ出資し、主に法人向けで連携を進めてきましたが、今回は個人を含めた総合的な金融サービス体制の構築へ一歩踏み込む格好です。オリックス側は、オリックス銀行株の譲渡により2027年3月期に約1242億円の売却益を計上する見込みで、得られた資金を資産運用ビジネスの強化など成長分野に再投資する方針です。
一方、買収側の大和証券グループは、預金を今後5年間で2兆円積み上げる方針を示しました。大和ネクスト銀の余剰資本を含めた3.5兆円は、不動産担保ローンや証券担保ローンなどに活用することで資金収支の向上を図ります。吉田CFOによると、利ざやを仮に1%確保できれば350億円の資金収支が向上できるとのことです。
ネット銀行競争と「金利ある世界」に向けた布石
今回の買収は、日本銀行の金利政策転換を背景に進む、証券・銀行一体型ビジネス強化の流れの一環と位置づけられます。野村ホールディングスも2025年4月に信託銀行を核とした「バンキング部門」を新設するなど、業界全体で証券と銀行機能の統合を進める動きが活発化しています。
大和証券グループはオリックス銀行が持つ信託機能も組み合わせることで、現金・証券・不動産など顧客の保有資産全体を踏まえた提案営業の強化に乗り出す構想です。
オリックスは、中長期でROE15%を掲げるなかで、資本効率の向上と事業ポートフォリオの入れ替えを進めます。ネット銀行市場では、楽天銀行や住信SBIネット銀行など大手が強固な顧客基盤を築くなか、今回誕生する新体制の銀行がどこまで存在感を高められるか、「金利ある世界」での競争は一段と激しさを増しそうです。












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