
東京商工リサーチが実施した最新の調査によると、2025年度における「マッサージ業」の倒産件数が前年度比14.8%増の108件に上り、過去最多を更新したことが明らかになりました。この数字は、近年のマッサージ業界が直面している厳しい経営環境をはっきりと浮き彫りにしています。
倒産した企業の詳細を見ると、その大半が小規模な事業者に集中していることがわかります。倒産の主な原因としては「販売不振」が最も多く、全体の84.2%にあたる91件を占めています。また、負債額別に見ると、倒産した108件のすべてが1億円未満でした。さらに資本金別では、1000万円未満の企業が104件と全体の96.2%を占めており、資金力が乏しい小・零細事業者が経営に行き詰まるケースが圧倒的に多いことが示されています。
マッサージ業には、国家資格を必要とする整骨院、接骨院、鍼灸院のほか、カイロプラクティックや民間資格のリラクゼーション店など、多様な業態が含まれています。これらのサービスは20代から40代の男女を中心に広く利用されており、産業全体としては依然として成長傾向にあります。特に、コロナ禍を経て生活様式が大きく変化したことにより、慢性的なストレスを抱える人が増加しました。その結果、自律神経の不調や、それに伴う頭痛、腰痛などの身体的な症状に悩む人が増えており、心身のケアを目的としたマッサージやリラクゼーションへの需要は一定の規模を保ち続けています。
しかしながら、需要の増加に伴って市場への新規参入も相次いでおり、店舗の乱立が進んでいます。街中を見渡せば、さまざまな形態の施術所やサロンがひしめき合っており、限られた顧客を奪い合う過当競争が常態化しています。需要そのものは存在しているにもかかわらず、多くの小規模事業者が顧客を獲得できずに倒産へと追い込まれている背景には、業界全体が抱える構造的な課題が潜んでいると言えます。
激化する価格競争とコスト高が小規模事業者を直撃
業界内で倒産が急増している最大の理由は、業態の垣根を越えた顧客獲得競争の激化と、運営コストの高騰です。近年、豊富な資金力を持つ大手チェーン店の台頭や、低価格帯の「もみほぐし」店の参入が相次ぎ、競争環境はかつてないほど厳しさを増しています。利用者にとっては施術内容や専門性の違いがわかりにくく、単純な価格の安さに顧客が流れる傾向が強まっています。
これに加えて、昨今の物価高に伴う光熱費の上昇が店舗運営を大きく圧迫しています。マッサージ業は施術者が直接サービスを提供する人手依存型のビジネスモデルであるため、最低賃金の引き上げなどに伴う人件費の高騰も収益悪化の深刻な要因となっています。
各事業者は生き残りをかけ、初回施術の無料サービスや口コミ投稿を条件とした割引クーポンの配布、SNSや動画サイトを活用した情報発信など、多様な集客施策を展開しています。しかし、競争の激しさゆえにコスト上昇分を施術料金に転嫁することは容易ではありません。薄利多売の構造から抜け出せず、収益確保が困難な小・零細事業者を中心に、今後も厳しい経営環境が続くと予想されます。










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