東電が「黄金株」導入を検討、政府に拒否権付与し経済安保リスクに対応へ

東電が「黄金株」導入を検討、政府に拒否権付与し経済安保リスクに対応へ

東京電力ホールディングス(東電HD)が、外部企業との資本提携を進める過程で、政府に経営上の重要事項への拒否権を与える「黄金株(拒否権付種類株式)」の導入を検討していることが28日、分かりました。

黄金株は通常株とは異なり、合併や重要資産の譲渡、定款変更など一定の重要議案に対して拒否権を行使できるのが特徴です。東電HDは、1月に政府認定を受けた「第5次総合特別事業計画」の下で、人工知能(AI)の普及で需要増が見込まれるデータセンター向け電力供給や、脱炭素分野での外部企業との協業拡大を柱に掲げています。

この分野には国内外の企業や投資ファンドが高い関心を示しており、米系ファンドのブラックストーンやKKR、ソフトバンクなどが提携先候補として名乗りを上げているとされます。

提携候補に外資企業が含まれることから、黄金株導入は経済安全保障上のリスクに備える案として浮上しました。具体的には、提携先との中間持株会社を設立し、その新会社に黄金株を設定して政府が保有する構想です。東電HDは2月から3月末にかけて提携先を幅広く募集しており、今後1年程度をかけて資本提携の枠組みを詰めていくとされます。

黄金株とは 経済安保リスクに備える仕組み INPEXに続き東電も検討

黄金株は、会社法上の「拒否権付種類株式」に位置づけられ、定款で定めた重要事項について、通常の株主総会決議とは別に黄金株主の同意を必要とする仕組みです。

日本の上場企業で政府が黄金株を保有する例は、石油・天然ガス開発大手INPEXのみです。経済産業相が1株を保有し、取締役の選任・解任、重要資産の処分、定款変更、合併などの経営上の重要事項に対して拒否権を行使できる枠組みとなっています。

東電HDは、原発事故後も福島第一原発の廃炉や賠償を抱えながら首都圏を含む広域の電力インフラを担う重要企業です。第5次総合特別事業計画では、2025~2034年度の10年間で3兆1千億円規模のコスト削減を進めつつ、データセンター向けの電源確保や再生可能エネルギー投資、原発再稼働による収支改善などを盛り込んでおり、大規模な資本・業務提携の実現を目指しています。

黄金株導入が実現すれば、政府が拒否権を通じて経営の最終防衛線を握る一方、投資家側からは企業価値向上の自由度がそがれかねないとの懸念も出てくる可能性があります。経済安全保障の確保と市場原理のバランスをどう取るかが、制度設計の鍵となりそうです。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 日米財務相、円相場の安定へ協調確認 長期金利は一時3%台に
    米国で開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に合わせ、片山さつき財務相はベッセ…
  2. みずほ銀行、貯蓄預金を期間限定で最大年0.9%に 楽天カード還元も恒久化
    みずほ銀行は9月7日、個人顧客向けサービスを拡充し、貯蓄預金の金利を期間限定で通常の2倍に引き上げる…
  3. 筑波大学
    筑波大学(システム情報系・秋元祐太朗助教らの研究グループ)は8月28日、クリーンエネルギーとして注目…

おすすめ記事

  1. 島根あさひ社会復帰促進センター

    2026-2-20

    刑務所は教育の場へ。日本で唯一「TCプログラム」を導入する島根あさひ社会復帰促進センターが目指すもの

    島根あさひ社会復帰促進センターは、薬物依存や精神疾患等を持つ人たちが一緒に暮らし、TCユニットを国内…
  2. 法務省

    2025-11-24

    「街・夢・みらい-まなびでつながる更生保護シンポジウム」グランドフィナーレが開催。“まなび”が広げる共生の力

    全国5都市を巡って開催された「街・夢・みらい -まなびでつながる更生保護シンポジウム-」。自治体や企…
  3. 山口県岩国市にある女子刑務所

    2026-2-21

    平均年齢55歳、女子刑務所の知られざる日常。書道家が教える「幸福」の文字に受刑者は何を見たか

    山口県岩国市にある「岩国刑務所」は、中国地方では唯一の女子受刑者のみを収容している刑務所です。今回は…

2026年度矯正展まとめ

2026年度 矯正展まとめ

【結果】コンテスト

【結果発表】ライティングコンテスト企画2025年9-10月(大阪・関西万博 第4回)

アーカイブ

ページ上部へ戻る