ANA、2027年3月期の純利益4割減へ 燃料高騰が影を落とす

ANA(全日本航空)の旅客機

ANAホールディングスは4月30日、2027年3月期の連結業績予想を発表し、最終的なもうけを示す純利益が前期比43.2%減の960億円となる見通しであることを明らかにしました。直近で過去最高益を記録した同社ですが、中東情勢の悪化に伴う航空燃料価格の高騰が重しとなり、一転して大幅な減益を見込む厳しい船出となります。

同日公表された2026年3月期の連結決算では、旺盛な訪日外国人(インバウンド)需要を確実に取り込んだことで、純利益は前期比10.5%増の1690億円となり、過去最高を更新していました。しかし、新たな年度に入り、事業環境は急激に不透明感を増しています。特に中東を中心とした情勢悪化を受けた原油価格の急伸が直撃しており、ANAの試算によれば、燃料高は年間で営業利益を約1400億円も押し下げる要因になるとされています。

売上高は、旅客・貨物ともに需要が堅調に推移すると見込み、単価の向上などにより前期比9.1%増の2兆7700億円と過去最高を更新する計画です。トップラインの成長は維持するものの、コスト増を吸収しきれない形となり、営業利益も31.0%減の1500億円を見込んでいます。

競合である日本航空も同様の課題に直面しており、同日に発表された2027年3月期の純利益は前期比20.1%減の1100億円とする予想を据え置きました。日本航空は燃料費の高騰が1カ月当たり約280億円のコスト増加要因になると試算しており、国内航空大手2社が中東リスクによる減益に見舞われる構図が鮮明となりました。航空業界全体にとって、地政学リスクへの対応がこれまで以上に問われる1年となりそうです。

燃油高への対抗策と下期以降の正常化に向けた道筋

こうした厳しい環境下で、ANAは収益への打撃を最小限に食い止めるため、国際線を利用する乗客に課す燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の上限額を、5月の発券分から引き上げる措置を講じます。さらに、コスト削減やヘッジ取引の活用などにより、約1400億円の影響額を約600億円規模まで抑制する計画です。

先行きについては一定の落ち着きを見込んでいます。ANAは、中東を巡る事態が6月末までには収束に向かい、燃油価格も7月以降は段階的に下落していくと想定しています。このシナリオに基づき、第2四半期以降に情勢の影響が段階的に和らぎ、下半期には事業環境が正常化へ向かうとみています。

一時的な外部環境の悪化による減益予想とはいえ、インバウンドをはじめとする底堅い旅行・ビジネス需要は健在です。ANAは中期的な視点での安定配当の方針は継続するとしており、危機管理と収益改善のバランスを取りながら、想定通りに成長軌道へと回復させることができるか、経営陣の手腕が試されます。

ANAホールディングスに関するその他の情報は下記もお読みください。
https://tokyonewsmedia.com/archives/tag/ana

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