
高市早苗首相は4月30日、中東情勢に関する関係閣僚会議で、食品トレーや塗料などの原料になるナフサ由来の化学製品について「年を越えて供給を継続できる」との見通しを示しました。これまでは「半年以上」と説明していましたが、中東以外からの代替調達が進んだことで、目安を「年明け以降」まで延長しています。
2月28日の米国とイスラエルによるイラン奇襲攻撃を受け、ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥りました。原油・ナフサの輸入が細り、国内の産業活動や国民生活への影響が懸念されるなか、高市首相は国民に冷静な対応を呼びかけました。
具体的には、備蓄原油を活用した国内精製に加え、中東以外からのナフサ輸入を増やす計画で、追加分の本格的な国内到着は5月以降となる見通しです。
高市首相は4月5日、自身のX(旧ツイッター)で、ナフサについて「少なくとも国内需要4カ月分を確保している」と投稿しました。一部報道で「6月には供給が確保できなくなる」と伝えられたことに反論した形です。調達済みの輸入ナフサと国内精製の計2カ月分に加え、中間段階の化学製品の在庫2カ月分で合計4カ月分としていました。
高市首相は30日の会議で、大量発注による買い占めなどが生じないように関係業界への周知を徹底するよう指示しました。ホルムズ海峡を経由した原油輸入量は日本の9割にのぼるとされており、ナフサを含むエネルギー供給が地政学リスクに左右される状況は続いています。政府は今後も、代替調達の拡大と備蓄の活用を進めることで、企業活動への影響を極力抑えながら、国民生活を守る方針です。
在庫は「年越え」でも、現場には逼迫した品目も
高市首相が「年を越えて供給を継続できる」と強調した背景には、ナフサ由来の中間段階の化学製品、例えばエチレンやプロピレンなどの在庫が、統計上およそ2カ月分確保されていることがあります。この在庫に、今後中東以外から到着するナフサを基にした生産分を上乗せすることで、少なくとも2026年度内の国内需要を賄えるとの計算です。
しかし、全体の量が確保されていても、品目や地域によっては供給が偏る懸念もあります。ナフサから製造される塗料用シンナーなどでは、個別の原材料が逼迫し、一部のホームセンターや塗料販売店では在庫が細る事例も報告されました。用途ごとに複数の化学品を組み合わせて製造する製品では、一つでも欠けると生産が滞りやすく、サプライチェーンの「目詰まり」として現れます。
高市首相は24日の衆院厚生労働委員会で、ナフサ調達について「まもなく心配しなくてもいい情報をお伝えできる」と述べ、一定の見通しが立ちつつあることを示唆しました。政府は業界と連携して流通の目詰まりを解消し、医療機関など優先度の高い分野への化学製品の供給確保を進める方針です。










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