
米人気歌手テイラー・スウィフトさんが米国特許商標庁に自身の音声や写真の商標を出願したことが28日、わかりました。生成AIの普及で著名人の声や肖像を本人の同意なく用いたコンテンツが急増するなか、アーティスト本人が主体的に権利保護の枠組みを整えようとする動きとして注目されています。
出願内容は、ステージでのスウィフトさんの写真1点と、「こんにちは、テイラー・スウィフトよ」などの音声クリップ2点の計3点です。米国では企業のサウンドロゴなど音の商標登録自体は存在しますが、著名人本人の声を登録するケースは珍しいとされます。こうしたフレーズや特定のビジュアルを商標として押さえることで、無断利用に対して差し止めや損害賠償を求めやすくする狙いです。
近年、AI技術の進化により、有名人の声や姿を無断で複製したコンテンツが増加しています。2024年初めには、スウィフトさんのディープフェイク画像がSNS上で拡散され、プラットフォーム側が削除対応に追われる事態も発生しました。
スウィフトさんは既に自身の名前やツアータイトルなど多数の商標を保有しており、ブランド管理に積極的なことで知られてきました。大規模ツアーや音楽カタログの価値を背景に世界有数の音楽ビジネスの当事者となるなか、AIの急速な進化が、その保護範囲を「声」や「姿」そのものへと広げつつある格好です。
偽画像問題で浮き彫りになるAIリスク 法整備とプラットフォーム対応が課題に
スウィフトさんをめぐっては近年、本人の同意なく生成AIで作られた画像や動画が拡散し、社会的な議論を呼んできました。2024年8月には、スウィフトさんがトランプ氏を支持しているかのように見せる偽の画像がトランプ氏のSNSに投稿され、選挙とAIをめぐる情報操作の象徴的な事例として取り上げられています。
画像の多くはAIで生成されたと報じられ、スウィフトさん本人やファンの意思とは無関係に政治的メッセージが付与される形となりました。
AI生成コンテンツをめぐっては、著作権や商標権だけでは対応しきれない人格権侵害や名誉毀損への対処、さらにはプラットフォーム側の削除義務やラベリング義務など、包括的なルール整備が課題となっています。
今回の商標出願は、現行制度の枠内で可能な対抗手段を最大限活用しようとする試みといえますが、同様の被害は他のアーティストや一般の個人にも広がる恐れがあり、個別の権利行使だけでは限界も指摘されています。












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