米アンソロピック、AI「ミュトス」の日本提供を検討 米政権は難色

米アンソロピック、AI「ミュトス」の日本提供を検討 米政権は難色

米人工知能企業アンソロピックが、高性能AIモデル「Claude Mythos(クロード・ミュトス)」について、日本を含む提供先の拡大を計画していることが明らかになりました。同社は現在、約50の米企業・組織に限定してミュトスを提供していますが、米ホワイトハウスが安全保障上の理由から提供拡大に反対しており、今後の展開が注目されています。

ミュトスは2026年4月7日にアンソロピックが発表した最新のAIモデルで、プログラミングの自動化に加え、ソフトウェアのバグや脆弱性を検出する能力が特に高いことが特徴です。人間の専門家が見落としてきた脆弱性も発見できるとされ、サイバー防衛への活用が期待される一方、悪用されれば金融システムや重要インフラへの深刻な脅威となる懸念が広がっています。

このため、アンソロピックは一般公開を見送り、現在はマイクロソフトやアップルなど約50の企業・組織に限定して、各社のソフトウェア防御目的で提供しています。同社は「プロジェクト・グラスウィング」と呼ばれるサイバーセキュリティ連合も立ち上げ、テクノロジー企業12社が参加してソフトウェアの脆弱性発見と修正に取り組んでいます。

日本国内でも対応が進んでおり、片山さつき金融相は4月24日、金融庁と日本銀行がミュトスなど最新AIによるサイバーセキュリティ上の脅威に対応するため、金融業界と作業部会を立ち上げると表明しました。金融庁は同日、日銀や日本取引所グループ、3メガバンクと会合を開催し、植田和男日銀総裁や3行トップらが出席して作業部会設置に賛同しました。片山金融相は会合後、「金融業界の場合、サイバー攻撃によって直ちに信用不安にまで波及しうる」と指摘し、IT業界とも連携して早急に対応策を検討する考えを示しました。

米政権との関係改善に向けた動き

アンソロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者は4月17日にホワイトハウスを訪問し、ワイルズ大統領首席補佐官やベセント財務長官と会談しました。ホワイトハウスは会談を「実り多く建設的」と評価し、協力の機会や技術拡大に伴う課題について協議されたと発表しました。

アンソロピックはこれまで、AIの軍事利用を巡って米国防総省と対立しており、完全自律型兵器や大規模国内監視への利用制限を主張してきました。しかし、ミュトスの登場をきっかけに政府との関係再構築を図っており、米政府機関への提供拡大も検討しています。米財務省や商務省などがミュトスの利用を念頭に準備を始めているとされます。

ホワイトハウス当局者は「政権はイノベーション推進とセキュリティー確保のバランスを模索しており、民間AI企業と協力している」とコメントしています。

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