
欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は4月29日、米IT大手メタが運営するSNS「インスタグラム」と「フェイスブック」が、子どもの保護規定に関してデジタルサービス法(DSA)に違反しているとの暫定的な見解を発表しました。プラットフォーマーに対し違法コンテンツ対策などを義務付ける同法に基づく措置で、未成年者の利用制限や年齢確認の仕組みが不十分だとして、早急な設計変更を求めています。
欧州委員会が特に問題視したのは、メタが利用規約で安全に利用できる最低年齢を13歳と定めているにもかかわらず、13歳未満の子どもの利用を効果的に制限できていない点です。アカウント作成時に利用者が虚偽の生年月日を入力することが可能であり、その真偽を確認する有効なシステムが存在しないと批判しました。また、13歳未満の利用者が発覚した場合に、サービスから迅速に排除する措置も徹底されていないと指摘しています。
EUの推計によれば、域内の13歳未満の子どもの約1割がインスタグラムなどを日常的に使っているとみられます。欧州委員会は、低年齢の子どもほどSNSによる負の影響を受けやすいと主張し、子どものSNS規制を域内の新たな重点政策として位置づけました。
これに対しメタ側は、「インスタグラムなどは13歳以上の利用者向けであると明確にしており、対象年齢未満のアカウントを検知して削除する措置を継続的に講じている」と反論しました。欧州委員会の暫定見解には同意せず、今後も協議を続ける姿勢を示しています。
欧州委員会は2025年10月にも、児童ポルノや暴力をあおるコンテンツの通報の仕組みが不十分だとして、メタに対しDSA違反の暫定見解を公表していました。また、2025年4月にはデジタル市場法に基づき、2億ユーロ(約370億円)の制裁金を科すなど、事業見直しへの圧力を強めています。今回も最終的に違反が認定された場合、メタには最大でグローバル売上高の6%の制裁金が科される可能性があります。
加速する子どものSNS利用規制、日本や各国でも議論が本格化
子どものSNS利用を制限する動きは、欧州以外でも急速に広がっています。ノルウェー政府は4月24日、16歳未満のSNS利用を禁止する法案を年内に議会へ提出すると発表しました。テック企業に対して厳格な年齢確認の責任を負わせる方針で、議会の承認が得られれば来年にも施行される見通しです。
一方、日本国内でもSNSの年齢制限に関する議論が活発化しています。総務省は事業者に対して年齢確認やリスク評価を求める検討を進めており、夏にも報告書をまとめる予定です。ただ、日本では一律の法律による禁止よりも、保護者による見守りや情報モラル教育、プラットフォーム側の保護機能強化をどう組み合わせるかが焦点となっており、画一的な線引きの難しさも指摘されています。
EUは今後、オンライン上での実効性のある年齢確認に向けた独自アプリの導入なども視野に入れており、未成年のSNS規制は新たな局面を迎えています。テクノロジー企業は、収益と安全性の両立に向けた抜本的な対策を迫られています。








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