インフルエンザワクチン接種で小児の救急外来受診と入院を50%減少 アメリカCDCの報告を医師が解説

インフルエンザ ワクチン接種 小児の救急外来受診と 入院を50%減少 ~アメリカCDCからの報告~

2025-2026シーズンは、インフルエンザが大流行しました。

一方、コロナワクチンから始まるワクチン全体への不信感から、お子さんへのインフルエンザワクチン接種も「毎年打つべきか」「本当にワクチン効果があるのか」と悩まれる方もいらっしゃるかもしれません。

そんななか、インフルエンザワクチンが子どもたちの健康を守るうえで、非常に重要な役割を果たしていることを示す、最新研究が報告されましたので紹介します。

■インフルエンザワクチン接種で救急外来受診・入院が半減

米国疾病予防管理センター(CDC)などの研究チームから、インフルエンザワクチン接種(少なくとも1回)が、小児のインフルエンザによる救急外来(ED)受診や入院を約50%以上減少させる効果があることを明らかにしたと、2024年12月に医学雑誌『JAMA Network Open』で発表されました。

■米国では70%の子どものインフルエンザワクチン接種が目標

インフルエンザは、特に5歳未満の子どもや基礎疾患を持つ子どもにとって、重い病気につながる可能性があります。アメリカでは生後6ヶ月以上のすべての人に毎年のワクチン接種が推奨されていますが、実際の子どもの接種率は目標の70%を下回っており、近年は低下傾向にありました。

ワクチンが「重症化」をどれだけ防げるのかをはっきりと示すことは、接種率の向上やワクチン政策にとって重要だと考えられています。

この研究の主な目的は、米国の小児において、インフルエンザワクチンの有効性(VE)がインフルエンザの重症度(軽症から重症まで)によってどのように異なるかを調査することでした。そのため、この研究は2015年11月から2020年4月までの期間に、米国内の8つの医療機関で実施されました。

対象となったのは、急性呼吸器疾患(ARI)で救急外来を受診、または入院した生後6ヶ月から17歳の小児、合計15,728人です。

そして、対象者をインフルエンザ検査の結果によって、陽性だった子ども(症例群:2,710人)と陰性だった子ども(対照群:13,018人)の2つのグループに分けました。

そのうえで、これら2つのグループ間で、そのシーズンにインフルエンザワクチンを少なくとも1回接種していたかどうかでワクチンの効果を検証しています。

また、インフルエンザの重症度についても、「救急外来受診のみ」「重症でない入院」「重症入院(ICU入室、挿管、ECMO使用、死亡など)」といったレベルに分類し、それぞれに対するワクチンの有効性も分析されました。

■インフルエンザワクチンは子どもの救急外来受診と入院を大幅に抑制

まずワクチン接種の有効性(VE)は以下のようになりました。

  • インフルエンザに関連する救急外来(ED)受診または入院を予防する全体的な有効性は 55.7% でした 。

そして、最も注目すべき「重症度別」の有効性は、以下の通りです。

  • 救急外来受診の予防効果: 52.8%
  • 重症でない入院の予防効果: 52.3%
  • 重症入院(ICUレベル)の予防効果: 50.4%

この結果から、ワクチンの有効性は病気の重さが増しても低下せず、一貫して50%以上の保護効果が示されたことがわかります。 

また、年齢別では、6ヶ月から8歳のより幼い子どもたち(VE 58.1%)の方が、9歳から17歳の子どもたち(VE 42.6%)よりも有効性が高い傾向が見られました。

注意点
この研究では「非常に重篤な状態の子どもの登録が、通常の診療が優先されるために少なかった可能性がある」とされています。実際に調査期間中の死亡例は2例のみですが、これは想定される死亡数よりも少ない数です。

そのため、最も重症なケースに対する有効性を完全には捉えられていない可能性が残されています。また、5シーズン分のデータをまとめて分析しているため、シーズンごとの詳細な分析はできていません。

■インフルエンザワクチンの効果は子どもにとって大きい

今回の研究では、インフルエンザワクチンが、子どもたちを救急外来の受診から、ICUを必要とするような重症入院に至るまで、あらゆるレベルのインフルエンザ疾患から一貫して保護する重要な役割を果たしていることが、強く示唆される結果となりました。

しかし、調査対象となった期間中、急性呼吸器疾患で受診した子どもたちのうち、ワクチンを接種していたのは約半数(49.5%)にとどまっているのは驚きですね。

インフルエンザワクチン接種は、インフルエンザやその合併症から子どもたちを守る最も効果的な方法のひとつです。副作用以上のメリットがあるので、これまで長く続けられています。

インフルエンザが大流行しました。ぜひ「なんとなくワクチンは心配」と漠然と考えず、理性的に判断してみてください。

参考文献:
Kelsey M Sumner, Leila C Sahni, Julie A Boom,et al.Estimated Vaccine Effectiveness for Pediatric Patients With Severe Influenza, 2015-2020.JAMA Netw Open.2024 Dec 2;7(12):e2452512.

秋谷進医師

投稿者プロフィール

小児科医・児童精神科医・救命救急士
たちばな台クリニック小児科勤務

1992年、桐蔭学園高等学校卒業。1999年、金沢医科大学卒。
金沢医科大学研修医、国立小児病院小児神経科、獨協医科大学越谷病院小児科、児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科、東京西徳洲会病院小児医療センターを経て現職。
専門は小児神経学、児童精神科学。

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