
東京証券取引所は4月30日、モーター大手のニデックに対し、上場契約違約金として最高額となる9120万円の支払いを正式に請求しました。京都市に本社を置くニデックでは、大規模な不正会計問題が発覚していました。同社は時価総額5000億円以上のプライム市場上場企業であることから、規定上の最高額が適用されたものです。
ニデックをめぐっては、第三者委員会が2026年4月17日に最終報告書を提出。これにより、同社グループの複数拠点における多数の会計不正が明らかになりました。不正による純利益への影響額は、2025年4月から6月期までの累計で1607億円のマイナスです。報告書は、創業者である永守重信氏について「会計不正について最も責めを負うべきと言わざるを得ない」と結論付けています。
問題の背景には、永守氏による非現実的な業績目標と強いプレッシャーがあり、短期的な利益最優先の企業風土の醸成が指摘されました。また、CFOや経理部門が自ら不正に関与し、内部監査部門も根本原因に切り込むことを回避するなど、けん制機能が不全に陥っていました。
さらに、M&Aで拡大したグループ会社の管理体制が脆弱であったことや、会計監査人に対する不誠実な対応も問題視されています。
ニデックは現在、永守氏を含む現旧役員の法的責任の有無を調べる「役員責任調査委員会」を設置しており、場合によっては損害賠償請求も検討しています。同社は過去の決算訂正に伴い、主に自動車部品事業で2500億円規模の減損損失を計上する見通しです。
なお、永守氏は2025年12月19日に代表取締役を辞任して名誉会長となり、その後2026年2月26日には名誉会長も辞任し、ニデックから完全に身を引いています。
特別注意銘柄指定と上場廃止リスク
東証は不正発覚後の2025年10月28日、ニデックの株式を「特別注意銘柄」に指定しました。これは内部管理体制などについて改善の必要性が高いと判断されたためです。上場契約違約金は、企業行動規範の遵守すべき事項に違反した場合に東証が請求できる制度で、金額は市場区分や時価総額などに応じて定められています。
東証は、経営トップによる過度な業績プレッシャーとけん制機能の不全により、長期間にわたって内部管理体制に極めて重大な不備が生じ、投資者の信頼を毀損したと説明しました。
特別注意銘柄に指定された企業は、原則1年後の審査で内部管理体制などが改善されていないと判断されると、最悪の場合上場廃止となる可能性があります。ニデックが今後どのように市場の信頼を回復し、内部管理体制を改善するのかが注目されます。












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