
物流ドローン事業及びドローンショーの企画・運航サービスを幅広く展開している株式会社AlterSky(本社:愛知県豊田市)は、環境省が検討を進める「屋久島国立公園内のし尿処理適正化に向けたドローンの活用可能性検討業務」に参画しました。2026年3月6日、同公園の山岳部において国内で初めてとなるドローンを用いたし尿運搬の実証試験を実施し、従来の人力やヘリコプターを用いた手法を上回る効率性とコスト削減の可能性を実証したことを発表しました。
世界自然遺産として知られる屋久島国立公園の山岳部においては、これまで汲み取り式やバイオトイレなど多様な手法によってし尿処理が行われてきました。しかしながら、高額な搬出費用が重くのしかかる点や、天候などに左右されやすい不安定な搬出体制、さらには登山客の携帯トイレの利用率が低迷しているといった、自然環境を維持するための多くの課題を抱えていました。こうした課題を抜本的に解決するための新たなインフラ維持の手法として、環境省および関係者間でドローンの活用が有力視されており、ドローン運搬の専門的なノウハウを持つ同社が本業務の検討および試験運航を担うこととなりました。
実証試験は、鹿児島県熊毛郡屋久島町の広大な自然が広がる山岳エリアで行われました。水平距離約2.5km、高低差が約520mにも及ぶ過酷なルートにおいて、計9回のフライトを連続して実施し、合計約200kgのし尿ポリタンクを約3時間という短時間で運搬することに成功しました。当日の気象条件は、平均風速が6m/s、瞬間的に最大12m/sに達する山風が吹き荒れる厳しい環境下でしたが、ドローンは高い耐風性能を発揮し、安定した飛行を維持しました。
また、山小屋付近の回収地点は短辺が4m未満という極めて狭小なスペースでしたが、操縦者の精密なドローン操作によって、安全に離着陸および荷卸し作業を完了させました。当日の運航体制は、操縦者、補助者、機体監視員を含む計5名体制で実施されましたが、実際の運用フェーズにおいては4名体制での実施が十分に可能であるとされています。
既存の運搬手段との比較から見えたドローン活用の優位性
今回の実証結果に基づき、人力(人肩)やヘリコプターといった既存の運搬手段と比較した結果、ドローンを活用することで多角的な優位性があることが確認されました。
第一に、運搬効率の飛躍的な向上です。登山口から山小屋までの移動には通常往復6時間を要し、人が一度に運べる重量は20〜40kg程度に限られます。しかし、ドローン運搬では準備や移動時間を含めても、人肩運搬と比較して約1.1倍以上の運搬効率が実現できることが確認されました。
第二に、経済性の改善です。20Lポリタンク1個あたりの運搬費用において、ドローンは高額なヘリコプター運搬を下回るだけでなく、今後の運用次第では人肩運搬よりも安価な手法となる可能性が示唆されています。さらに、作業員の身体的負荷の軽減も大きなメリットです。20kgもの重量物を担いで険しい山道を下る肉体的な負担を大幅に削減し、労働安全性の向上が見込まれます。加えて、天候不順の影響を受けやすいヘリコプターに対し、ドローンはピンポイントでの運航調整が可能であるため、現場の状況に応じた柔軟な運用が期待されています。









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