
米トランプ政権が、先進的な人工知能(AI)モデルについて公開前に政府が審査する仕組みの導入を検討していることが明らかになりました。複数の米メディアの報道によると、ホワイトハウスは作業部会設置に向けた大統領令を検討しており、新たなAIモデルに対する正式な政府監督の枠組みが議論されています。
検討の中心は、サイバー攻撃を助長する可能性のあるシステムなど、高リスクのAIモデルをどう扱うかという点です。政府主導のテスト実施や、公開前の審査プロセスの確立などが選択肢として挙がっていますが、具体的な制度設計や開始時期は不透明で、提案は最終決定に至っていません。
ホワイトハウス報道官は「大統領令に関する議論は推測にすぎない」とコメントし、政策発表は大統領から直接行われるとしています。
報道によれば、ホワイトハウスは先週、AI開発大手の幹部を招いて協議しました。出席したのはAnthropic(アンソロピック)、グーグル、OpenAIなどです。会合では、事前審査の枠組みや作業部会の構想について意見交換が行われたとみられます。
トランプ政権は2025年1月の就任直後、バイデン前政権のAI安全性に関する大統領令を撤回しました。7月には「AI行動計画」を公表し、データセンター建設の許認可手続き見直しや環境基準の簡素化などを打ち出しています。今回の事前審査検討は、こうした規制緩和路線からの方針転換として注目されています。
検討の背景にあるのは、Anthropicが発表した新型AIモデル「Mythos」の存在です。同モデルは高度なサイバーセキュリティ能力を持ち、ソフトウェアの脆弱性を自律的に発見し悪用できる可能性が指摘されています。AnthropicはMythosを一般公開せず、限定的なパートナー企業にのみ提供し、防御的なセキュリティ作業に活用する「Project Glasswing」を立ち上げました。
安全性と競争力の両立が論点に 連邦規制の行方に注目
AIモデルの公開前審査が制度化された場合、政府による監督が強化される一方で、企業側の開発スピードや機密情報への配慮などをどう両立させるかが大きな課題となります。
連邦レベルでの包括的なAI規制法は米議会で成立しておらず、ホワイトハウスの動きが今後の立法にも影響を与える可能性があります。日本を含む各国でもAI安全対策と産業政策の両立が課題となるなか、米政権の一挙手一投足が国際的なルール形成の方向性を占う試金石となりそうです。









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