
ベッセント米財務長官が11日から3日間の日程で日本を訪れ、高市早苗首相や片山さつき財務相、植田和男日銀総裁らと個別に会談する方向で調整が進んでいます。 連休中に急速な円安が進み、4月30日夜には政府・日銀が5兆〜6兆円規模とみられる円買い・ドル売り介入に踏み切ったと報じられる中での訪日となり、投機的な円売りへの対応や今後の為替政策を巡る日米協議に注目が集まります。 ベッセント氏は14〜15日に予定されるトランプ米大統領と習近平中国国家主席による米中首脳会談にも随行する見通しで、日本では為替だけでなく、中国の輸出規制が強まるレアアース(希土類)など重要鉱物の安定調達やエネルギー安全保障も主要テーマとなる見込みです。
外国為替市場では4月末、1ドル=160円台後半まで円安が進行した後、30日夜の介入を受けて155円台まで一気に円高方向へ振れたとされ、政府・日銀が1年9カ月ぶりに本格的な市場介入に動いたと市場では受け止められています。 ベッセント氏はこれまで、急激な円安局面では投機的な円売りの動きを強く警戒してきたとされ、1月に日本側が為替介入の前段階とされる「レートチェック」を実施した際にも、米財務省側が動きを主導したと報じられています。 一方で、同氏は1月末のメディアインタビューで、米国として円買い・ドル売りの介入は行っていないと明言し、引き続き「強いドル政策」を維持する姿勢を示しており、今回の訪日では円安自体ではなく、その背後にある過度な投機や国際金融市場への波及リスクが主要な論点となりそうです。
また、ベッセント氏の来日は財務長官就任後2回目とされ、日本政府関係者とのパイプも深いことで知られています。 すでに今年1月には、片山財務相が米国で同氏と会談し、1ドル=158円台まで下落した局面の円安に強い懸念を共有しており、行き過ぎた為替変動に対しては必要な対応も辞さないとの認識を確認しています。 日米両政府は今回の協議を通じて、市場の不安定化を招きかねない円安・ドル高の動きに歯止めをかけるシグナルを発信できるかが問われます。
レアアース巡る対中依存低減も協議 重要鉱物の調達で日米主導の行動計画
ベッセント氏の訪日では、為替問題と並んでレアアースをはじめとした重要鉱物のサプライチェーン強化も主要議題となる見通しです。 中国がレアアースの輸出規制強化などをテコに経済的な影響力を強める中、日米両政府は高市首相とトランプ米大統領が19日に予定する首脳会談で、重要鉱物の調達拡大に向けたアクションプラン(行動計画)を締結する方針を固めています。 行動計画では、中国産の重要鉱物に追加関税を課す案や、友好国での投資や生産を補助金で後押しする措置などを通じて、調達先の多角化と対中依存の低減を図る方針が示される見込みです。
この枠組みは日本と米国が主導し、先進7カ国(G7)や有志国の参加も視野に入れているとされ、日本としても自動車用モーターや蓄電池など戦略物資の安定供給に直結するテーマだけに、為替と並ぶ経済安全保障上の柱として位置づけられます。 4月30日の大規模な為替介入は、円安進行が国内物価や企業の輸入コストを押し上げる懸念への対応という側面に加え、金利上昇と円売りが同時に進むことで米国債市場にも影響が及びかねないとの見方も広がっており、為替・資源双方のリスクをどう抑え込むかは日米共通の課題になっています。 ベッセント氏の訪日協議と、その後の米中首脳会談、日米首脳会談の流れを通じて、円安と資源をめぐる新たな国際ルールづくりがどこまで具体化するのかが焦点となります。
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