
健康保険組合連合会(健保連)は4月28日、大企業の従業員とその家族が加入する健保組合の2026年度予算の早期集計結果を公表しました。推計によると、全体の7割強にあたる1010組合が赤字となる見通しです。経常収支は2890億円のマイナスを見込んでおり、健保財政が極めて厳しい状況に直面していることが浮き彫りになりました。
予算推計の集計は、回答があった1362組合のデータを基に、全1364組合の数値を算出したものです。平均保険料率は前年度比0.02ポイント減の9.32%となりましたが、これは一時的な要因による微減であり、財務体力の根本的な改善を意味するものではありません。最大の圧迫要因となっているのは、高齢者医療への拠出金の増加です。2024年度の決算見込みでは、拠出金は過去最大の3兆8591億円に達しており、保険給付費などの支出全体の40%余りを占める異常な「仕送り」構造が常態化しています。
さらに、2024年度の決算見込みを振り返ると、国内企業における高い賃上げや保険料率の引き上げによって保険料収入が増加したため、全体では145億円の黒字を確保していました。しかし、その時点でも全体の約5割にあたる組合が赤字を抱えており、赤字総額は2066億円にのぼっていました。賃上げという一時的な増収効果はすでに限界に達しており、医療技術の高度化や高齢化の進展による自然増を吸収しきれず、2026年度に再び巨額の赤字へと転落する構図です。
また、少子化対策の拡充に向けて2026年度から新たに創設された「子ども・子育て支援金」の負担も重くのしかかります。健保組合における支援金の上乗せ分は、加入者1人当たり年間1万3711円と見込まれています。健保組合の保険料と同様に、この支援金も労使で折半する仕組みとなっており、企業側の法定福利費負担と従業員側の手取り減少という二重の打撃をもたらすことが懸念されています。
高齢者の窓口負担引き上げと制度改革を求める声
このように健保組合の財政が危機的状況に陥る中、制度の持続可能性を確保するための抜本的な改革が急務となっています。健保連は、現役世代への過度な負担の偏りを是正するため、負担能力に応じた公平な負担の実現を強く主張しています。
具体的には、健保連幹部が記者会見で「現役世代の負担軽減には、高齢者も一定の負担が必要だ」と指摘し、高齢者の窓口負担割合の引き上げを求めています。医療費の膨張を抑制し、限りある保険財源を真に必要な領域に集中させなければ、大企業を基盤とする独自の健保組合を維持できなくなり、多くの組合が解散に追い込まれるリスクが高まります。
社会保障の充実という名目の裏で、現役世代の可処分所得が奪われ続ける現状に対して、企業や加入者からは不満の声も上がり始めています。国民皆保険制度を守るためには、給付水準の見直しや、高齢者支援金のあり方そのものを根本から問い直す国会での立法措置や国民的議論が強く促される状況となっています。












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