
株式会社ウテナ(東京都世田谷区)は5月6日、全編に生成AIを活用して制作したアニメーションCM「潤い戦士 モイスチャー」が、既存の有名アニメ作品に酷似しているとの批判を受けた問題で謝罪しました。同社は公式サイトにて動画の削除と、展開中の交通広告の順次撤去を発表しています。
物議を醸したのは、主力スキンケア商品「ウテナ モイスチャー」の販売を訴求する屋外広告およびPR動画です。同社は以下のスケジュールで大々的な広告展開を開始していました。5月1日より公開された新CM動画は、メガネをかけた女性キャラクターが商品を用いて緑色の戦闘服に変身し、仲間と共に敵を倒すという内容でした。しかし、公開直後の5月3日頃から、SNS上で既存のアニメ作品「美少女戦士セーラームーン」にビジュアルや構図が極めて似ているとの指摘が殺到しました。「生成AIに作品を学習させていることが丸出しである」といった厳しい批判が相次ぎました。
これを受け、株式会社ウテナは「お寄せいただいた多くのご指摘を真摯に受け止めるとともに、今回の表現が、既存の創作物の独自性や文化的背景に対する敬意を欠き、また既存作品を愛するファンの皆様の心情への配慮が不足していたことを深く反省しております」と謝罪しました。公開当初、同社は生成AIを活用することで「通常半年以上かかるアニメ制作を数時間から半日程度に大幅短縮した」と明かしており、特定の作品を学習させたわけではなく、人の監修のもと類似性の確認を行っていると説明していました。
生成AIの発展により制作コストの大幅な削減が可能になった一方で、その利用方法が社会的な批判を浴びるケースが増加しており、企業側の倫理的リスクが浮き彫りとなる象徴的な出来事となりました。
リーガルチェックの限界と今後のチェック体制見直し
今回の事態において特筆すべきは、事前に専門家を交えた確認が行われていたにもかかわらず、炎上を防げなかったという点です。株式会社ウテナは、広告取り下げの発表に際し、事前に「外部専門家を交えて法的な確認を重ねた」と明かしています。しかし、単に著作権侵害などの法的な要件をクリアしているかどうかのリーガルチェックだけでは、特定の作品を愛するファンの心情や、文化的背景に対する配慮といった「社会的な受容性」を適切に測ることは困難であることが明確になりました。
今後の対応として、同社は「既存作品との類似性を含めたご指摘について、改めて専門家など第三者による指導を受けながら、関連する法規制などの点で問題がないかを確認してまいります」と説明しています。再発防止策としては、今後は法的ルールの順守にとどまることなく、閲覧者への配慮を含めた表現に対するチェック体制を全面的に見直すよう努めると述べています。AIをビジネスに活用する企業には、法的基準のみならず、より高度な倫理的判断やカルチャーへの理解を組み込んだガバナンスの再構築が急務となっています。




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