【医師解説】1歳のテレビ・DVD長時間視聴で3歳の慢性便秘リスクが1.5倍超に?論文が示す意外な関係

1歳のテレビ・DVD長時間視聴で3歳の慢性便秘リスクが1.5倍超に?論文が示す意外な関係

家事や育児に追われる毎日の中で、つい1歳のお子さまにテレビやDVDを長く見せてしまうことはありませんか。「少しでもおとなしくしていてほしい」というお気持ちは、多くの親御さんが共感されることでしょう。一方で、お子さまが3歳頃になり、つらい便秘にお悩みではありませんか?

一見、無関係に思える「1歳時のテレビ・DVDの視聴時間」と「3歳時の便秘」には、意外な繋がりがあることが最新の研究で分かってきました。

今回は、この興味深い文献を紹介いたします。

1歳時に1日4時間以上テレビを視聴していると、3歳時の慢性便秘リスクが1.53倍高くなる可能性

【研究背景】

小児の便秘は、生活の質(QOL)を大きく下げる長期的な問題です。4歳以下で便秘と診断された小児の40%以上は、治療を続けても就学年齢まで症状が残るとされ、その後の心理的・精神的な症状のリスク上昇との関連も指摘されているため、早期診断と適切な治療が不可欠です。

近年、スマートフォンなどの情報機器端末が急速に普及し、長時間の視聴時間が慢性便秘の確率を上げるという報告もありましたが、サンプル数が少ないなどの課題がありました。また、便秘が最も起こりやすい2~4歳児において、視聴時間との関連性を検討した研究はこれまでありませんでした。

【研究の目的】

そこでこの研究では、信頼性の高い大規模な全国規模の出生コホートデータを用いて、1歳時のテレビやDVDの視聴時間と、3歳時の便秘発症との関連性を詳細に調査することを目的としました。

【研究の方法】

この研究は、環境省が資金提供する全国規模の大規模出生コホート調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(通称:エコチル調査、JECS)」のデータを使用しています。2011年1月から2014年3月までに登録された104,062件の胎児記録をもとに、自己記入式質問票(登録時、妊娠中、産後1カ月、および3歳まで6カ月ごとに配布)と診療記録からデータを取得しました。

分析には2020年に改訂されたデータセットを使用しています。精度の高い分析をするため、流産・死産など(3,759例)、排便に影響する可能性のある先天性異常(599例)、および1歳・3歳時点で排便などのデータが欠落しているケースを除外し、最終的に条件を満たした63,697人の乳児を対象に解析が行われました。

【研究の結果】

解析の結果、1歳時のテレビ・DVD視聴時間が長くなるほど、3歳時の便秘リスクが段階的(用量依存的)に高くなることが示されました。特に、1日4時間以上視聴している場合、3歳時の慢性便秘リスクは1.53倍(95%信頼区間:1.35–1.74)にまで上昇することが判明しました。

テレビやDVDを長時間視聴すると便秘になる理由とご家庭で気をつけたい注意点

なぜ、テレビ視聴が便秘に繋がるのでしょうか。研究チームは以下の3つの理由を指摘しています。

  • 理由1: 画面の前に座り続けることによる「身体活動量(運動量)の低下」
  • 理由2: 長時間の視聴による「生活リズムや食事リズムの乱れ」(排便に必要な食事量や水分が摂取できない)
  • 理由3: 視聴そのものが腸内環境に悪影響を及ぼしている可能性

この研究では、食事や身体活動といった生活習慣の違いを間接的に反映する可能性のある要因(両親の学歴、世帯収入、保育園の有無、授乳内容、子どもの肥満)については調整して分析されましたが、その他のすべての因子を調整できているわけではありません。そのため、「テレビを見たから必ず便秘になる」という直接的な因果関係までは断定できませんが、統計的に一定の一貫した関連性が認められたといえます。

お子さまの便秘予防のためにも健やかな生活リズムを整えてあげよう

今回の研究結果からも分かるように、幼児期の生活習慣は健康に直結します。お子さまのつらい便秘を予防するためにも、ご家庭でテレビやDVDを見るときのルールを決めたり、外遊びの時間を増やしたりして、健やかな生活リズムを整えてあげましょう。

もし、すでにお子さまの便秘でお悩みの場合は、決してご家庭だけで抱え込まず、医療機関での相談も検討しましょう。

参考文献:
Masashi Hotta,Satoyo Ikehara,Makiko Tachibana,et al.Association between TV/DVD screen exposure time at age 1 and risk of chronic constipation at age 3: the Japan Environment and Children’s Study.Environ Health Prev Med.2025:30:80.

秋谷進医師

投稿者プロフィール

小児科医・児童精神科医・救命救急士
たちばな台クリニック小児科勤務

1992年、桐蔭学園高等学校卒業。1999年、金沢医科大学卒。
金沢医科大学研修医、国立小児病院小児神経科、獨協医科大学越谷病院小児科、児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科、東京西徳洲会病院小児医療センターを経て現職。
専門は小児神経学、児童精神科学。

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