
米国のガソリン小売価格(全国平均)が5月5日、1ガロン当たり4.54ドルに達し、2022年7月以来初めて4.50ドルを突破しました。米自動車協会(AAA)のデータで明らかになったもので、2022年6月に記録した過去最高の5.01ドルまで約50セントに迫る水準です。
背景にあるのは、2026年2月28日に始まった米・イスラエルによるイランへの攻撃です。これを受けてイランは、世界の海上原油輸送量の約2割が行き交うホルムズ海峡を事実上封鎖しました。通航船舶数は急減し、原油の供給が世界的に逼迫している状況です。
UNCTADの報告によると、2月27日から3月9日までの間に原油価格は27%上昇しました。米国内のガソリン在庫は11週連続で減少しており、夏の需要期を前にした供給不安が価格上昇に拍車をかけています。一時は停戦合意が成立したものの、その後も協議は難航。トランプ大統領は4月12日にホルムズ海峡の「逆封鎖」を表明し、原油価格の高止まりが続いています。
価格上昇の経緯をたどると、攻撃開始直後から急騰が始まり、3月下旬時点ですでに約1ドルの上昇が報告されていました。その後も上昇が続き、4月28日には4.17ドル、5月5日には4.54ドルと水準を切り上げています。
地域差も顕著で、カリフォルニア州では4月末に6ドルを突破し全米最高水準となりました。同州はもともと燃料税や独自の環境規制で単価が高く、中東情勢を受けた急騰幅も大きくなっています。一方、西部全体でも価格上昇が広がっており、ハワイ州では5.6ドル台に達しました。
消費者心理とインフレ圧力への影響
ガソリン価格の高騰は、米国の消費者心理とインフレ動向に深刻な影響をもたらしています。ミシガン大学が発表した3月の消費者マインド指数(確報値)は3カ月ぶりの低水準となり、中東での紛争によるガソリン価格の上昇に加え、1年先のインフレ見通しの急上昇も要因と分析されています。
特に中間・高所得層や株式資産を保有する消費者の間では、イラン戦争によるガソリン価格上昇と金融市場の変動が重なり、センチメントの悪化が顕著にみられました。車社会に深く根ざした米国では、ガソリン価格の上昇が消費者の支出余力を直接圧迫するだけに、景気への影響を懸念する声も高まっています。
さらにガソリン価格は大統領支持率とも連動しやすく、11月の中間選挙を控えたトランプ政権にとっても政治的な重荷です。価格の高止まりがどこまで続くのか、紛争の行方とともに市場の注目が集まっています。












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