
中国自動車大手の奇瑞汽車(チェリー)とカー用品大手オートバックスセブンなど日中5社が協力し、中国で生産する新型の電気自動車(EV)を日本で販売する計画が進んでいます。横浜市に本社を置く合弁会社「EMT」が日本向けEVの開発から生産、販売までを担い、2027年の発売開始を目標としているとされています。オートバックスの全国店舗網を生かし、手の届きやすい価格帯のEVを投入することで、選択肢の少なさや価格の高さが課題となってきた日本のEV市場を広げる狙いがあります。
EMTは2025年に設立された日中5社による合弁会社で、本社所在地は横浜市です。奇瑞汽車は2025年時点で中国国内販売が約141万台、輸出台数が約129万台とされ、海外展開に強みを持つメーカーです。こうした量産・輸出のノウハウと、日本側パートナーが築いてきた販売インフラを組み合わせることで、価格競争力の高いEVを日本に供給する体制を整える構想です。EMTは奇瑞の既存EVをそのまま輸入するのではなく、日本市場向けの新型EVに特化する方針で、車両サイズや装備、安全基準などを国内の利用環境に合わせて設計するとされています。
開発面では、日産自動車の量産EV「リーフ」初代モデルの開発に携わった山本浩二氏が、EMTの最高技術責任者(CTO)を務めます。日本のEV黎明期から開発を担ってきた技術者が陣頭指揮に立つことで、安全性や品質、静粛性など、日本のユーザーが重視する項目を織り込んだ商品づくりを進め、輸入EVに対する不安を和らげる狙いがあるとみられます。オートバックスはこれまでカー用品販売や整備が中心でしたが、EVブランドの企画・販売に踏み込むことで、事業モデルの転換も図る動きとなります。
販売網と競争環境、国内EV普及への影響
販売体制は、オートバックスが全国に展開する店舗網を活用しつつ、EMTとして独自の販売店網も構築する計画です。車検や修理、点検など購入後のアフターサービスもオートバックス店舗で受けられるようにする方針で、輸入EVで課題になりがちなメンテナンス体制への不安を軽減したい考えがあります。一方で、関係者の説明では、具体的な車種構成や価格帯などは検討段階にあり、詳細は今後詰められる見通しとされています。
国内では、軽EVを中心に国産メーカーの新車投入が続いているほか、中国勢によるEV販売や、他の大手自動車メーカーによる中国生産EVの国内投入計画も進んでおり、EV市場の競争は徐々に激しくなりつつあります。こうした中で、低価格帯の新ブランドEVが加われば、価格と性能の両面で競争が一段と強まり、国内メーカーの開発・価格戦略にも影響が及ぶ可能性があります。また、日本では充電インフラの整備や車両価格の高さがEV普及の課題とされており、近距離移動を主に想定したコンパクトで手頃なEVには一定の需要が見込まれます。EMTが投入を目指す新型EVが、2027年以降の日本市場でどのような存在感を示すのか、今後の正式発表やモデル概要が注目されています。





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