EUでバッテリー交換不可のスマホは販売禁止に 2027年から新規制適用へ

EUの旗

欧州連合(EU)で販売されるスマートフォンやタブレットの製品設計が、数年後には大きく変わることになります。2027年2月18日より有効となるEUの新たな規制では、EU域内で販売されるスマートフォンやタブレットに対して、専門業者に頼らずともユーザー自身が簡単にバッテリーを交換できる仕様にすることが義務づけられます。さらにこの規制により、ユーザーが製品を購入した後、最低でも5年は交換用のバッテリー部品を容易に入手可能な販売体制を構築することが、各メーカーにとっての必須条件として課されることになります。

この厳格な規制に関しては、すでに2023年の段階で制定が正式にアナウンスされていました。従来のように、バッテリー交換のためにメーカーの公式修理サポートに郵送したり、特殊な加熱機器などのツールを用いたり、専門のショップでの分解作業が必要になったりする仕様は、原則として認められなくなります。EUの方針によれば、ユーザーが一般的な家庭にあるツールを用いて、安全かつ簡単にバッテリー交換ができる製品でなければ販売が許可されません。もしもバッテリーの交換作業に特殊なツールを要する場合は、製品の販売時にそのツールを無償でセット配布しなければならないとまで詳細に定められています。

この動きの背景には、ヨーロッパ各国、特にドイツなどで根強い「修理する権利」の推進や、環境保護の観点が強く影響しています。ユーザーがバッテリー劣化のたびに高額な修理費を支払うか、本体の買い替えを余儀なくされる現状を見直し、限りある資源の浪費と電子廃棄物を削減するための重要な取り組みです。また、世界的な物価上昇の影響もあり、消費者からは「一つのデバイスを長く使い続けたい」という要望がかつてないほど高まっています。この新規制はスマートフォンにとどまらず、ノートPCなどの他のバッテリー搭載デバイスにも順次適用される予定であり、テクノロジー業界全体に大きな変革をもたらすと考えられています。

メーカーに求められる設計の抜本的な見直しと今後の課題

こうしたEUの強硬な姿勢に対し、スマートフォンメーカー各社は2027年に向けて製品設計の抜本的な見直しを迫られています。現在主流となっているスマートフォンは、内部スペースを極限まで活用するためにバッテリーが強力な接着剤で固定されており、ユーザーが容易に取り外せない構造が一般的です。また、高い防水性や防塵性を確保するためにも、隙間のない密閉構造が広く採用されてきました。

しかし、新たな規制に適合するためには、防水・防塵性能や薄型軽量の美しいデザインを維持したまま、ユーザーが安全かつ簡単にアクセスできる着脱機構を新たに開発する必要があります。Appleやサムスンをはじめとする主要メーカーは、すでに長期的なソフトウェアアップデートを提供するなどしてデバイスの長寿命化に対応していますが、ハードウェア面での設計変更は容易ではありません。

今後、メーカー側は設計手法の変更と製造コストの増加という課題に直面することになります。ヨーロッパ市場での販売を継続するためにはこの基準をクリアする必要があり、結果として日本を含むグローバル市場向けモデルの仕様も、バッテリー交換が容易な共通設計へと統一されていく可能性が高いと見られています。

日本のモバイルバッテリーに対しての取り組みについては下記をお読みください。
https://tokyonewsmedia.com/archives/19828

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