
購買支援サイト「価格.com」とグルメサイト「食べログ」を運営するカカクコムが、スウェーデンの投資会社EQTによる株式公開買い付け(TOB)提案を受け入れ、非公開化に向かう方針を示しました。 提示された買い付け価格は1株3000円で、発行済み株式をすべて取得した場合の買収総額は約5900億円に達します。 TOBは5月13日から7月2日まで実施される予定で、成立後はカカクコム株は上場廃止となる見通しです。
カカクコムは、生成AIの普及を背景にユーザーの検索・比較行動が変化しつつあることを踏まえ、短期的な業績のブレに左右されずに事業構造の転換や新サービス開発を進めるには、非公開化が有効だと判断したとしています。 広告や送客手数料に依拠してきた従来モデルの見直しや、AIを活用したレコメンド機能の高度化など、投資負担を伴う取り組みを加速させる狙いがあるとみられます。
一方で、カカクコムには別の買収の動きも出ています。LINEヤフーと米投資会社ベイン・キャピタルが連携し、同じく1株3000円での非公開化を含む提案を行っていることが明らかになっており、複数陣営による争奪戦の様相を呈しています。 カカクコムは現時点でEQT案を優先しつつも、LINEヤフー・ベイン連合など第三者から、より具体的かつ実現可能性の高い対抗提案が出た場合には検討するとしており、条件競争に発展する余地も残されています。
株式市場では、こうした動きを背景にカカクコム株が急騰しました。 TOB価格と足元の株価水準の差や、今後の価格引き上げ観測などが意識されており、短期的には思惑先行の値動きが続く可能性があります。
対抗提案と株主動向、カカクコムの行方
今回の買収提案では、既存株主の対応も注目されています。カカクコム株を保有する香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントは、2026年3月時点で保有比率を12.11%まで引き上げたことが開示されており、その後も買い増しを進めているとされています。 オアシスはこれまでも企業価値向上を求める提言を行ってきた経緯があり、1株3000円というTOB価格をどう評価するかが、今後の展開を左右する要素の一つとなりそうです。
複数の買収提案が並ぶ中、株主にとっては提示条件の比較検討が焦点になります。提示価格が過去の株価と比べて一定のプレミアムを含む一方で、事業の成長余地や将来の収益力を踏まえると、なお割安だとみる見方も出ています。 条件の見直しや新たな提案が出れば、TOBの成否だけでなく、最終的な買収主体も変わる可能性があります。
事業戦略の面では、EQTによる非公開化が進んだ場合、独立性を維持しつつ中長期的な投資を重視する体制が強まるとみられます。 一方、LINEヤフー・ベイン連合による買収が実現した場合には、検索・ポータルサービスと「価格.com」「食べログ」との連携が強まり、広告・EC・予約などの領域で一体的なサービス展開が進む可能性があります。
カカクコムは、インターネット上での価格比較や口コミ情報の基盤として、消費行動に大きな影響力を持つ企業です。 その経営権の行方は、同社のユーザーや取引先のみならず、日本のデジタル市場全体の競争環境にも波及し得るテーマであり、今後のTOBの進捗や各陣営の追加提案に対する市場の反応が注視されています。












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