
財務省が発表した2025年度の国際収支速報によりますと、日本の経常収支は34兆5218億円の黒字となり、比較可能な1985年度以降で過去最大を3年連続で更新しました。 前年度からの黒字拡大額は約4兆4900億円、率にして15.0%増で、日本が海外との取引を通じて稼ぐ力が一段と高まった形です。 背景には、半導体など電子部品の輸出増加に支えられた貿易収支の黒字転換と、海外子会社からの配当や利子収入が伸びたことによる第一次所得収支の拡大があります。
2025年度の貿易収支は、輸出が111兆3451億円、輸入が109兆9820億円となり、差し引き1兆3631億円の黒字でした。 貿易収支が黒字となるのは2020年度以来5年ぶりで、前年度の3兆309億円の赤字から大きく改善しています。 輸出は前年度比3.3%増で、特にアジア向けの半導体など電子部品が伸びたことがプラスに働きました。 一方、輸入はエネルギー価格の落ち着きなどを背景に0.8%減少し、原粗油や石炭などの輸入額が抑えられたことも黒字転換に寄与したとみられます。
海外からの配当や利子などを反映する第一次所得収支は、2025年度を通じて黒字額が過去最大を更新しました。 財務省が公表した速報では、海外子会社からの配当受け取りを中心に収入が伸び、経常黒字全体を押し上げたとしています。 一方、輸送や旅行などを含むサービス収支は赤字が続いており、旅行収支は訪日客の増加で大幅な黒字となる一方、企業の研究開発関連など高度なサービスの支払いが増えていることが課題として残っています。 経常収支が過去最大となる中でも、エネルギー価格や地政学リスク、世界経済の減速など、先行きの不確実性には引き続き注意が必要な状況です。
2026年3月も過去最大の黒字 中東情勢の影響はなお限定的
2026年3月単月の経常収支も4兆6815億円の黒字となり、3月として過去最大を更新しました。 黒字は14カ月連続で、ロイターなど民間調査機関の事前予測を上回る水準となっています。 内訳を見ると、貿易・サービス収支は5728億円の黒字で、そのうち貿易収支が8305億円の黒字を計上し、サービス収支の2578億円の赤字をカバーしました。 海外子会社からの配当金などが増えたことで、第一次所得収支の黒字も拡大し、月間としての経常黒字を押し上げた格好です。
一方で、中東情勢の緊迫化によるエネルギー供給への懸念はくすぶるものの、現時点で貿易統計に表れた影響は限定的と分析されています。 ロイターによりますと、2026年3月の貿易統計では原油の現地調達前倒しなどによりホルムズ海峡封鎖の影響は確認されず、原粗油輸入額は前年同月比で減少しました。 ただし、原油価格の高止まりが続いた場合には、2026年度以降の貿易収支や企業収益を圧迫する可能性があり、エネルギー価格と為替動向が日本の経常収支の行方を左右する重要な要因となりそうです。 政府・市場関係者の間では、過去最大の経常黒字という「稼ぐ力」を持続させつつ、エネルギー安全保障や供給網の強靱化をどう両立させるかが問われています。




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