
アメリカ労働省が5月12日に発表した4月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で3.8%上昇し、約3年ぶりの大幅な伸びを記録しました。これは中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の高騰が要因であり、インフレ再燃への懸念から年内の金融緩和(利下げ)観測が大きく後退しています。
CPIの上昇率は3月の3.3%から拡大し、2023年5月以来の大きさとなりました。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数も前年同月比で2.8%上昇し、高止まりしています。特に家計への影響が大きいガソリン価格の上昇率は前年同月比で28.4%(約3割)に達し、3月の18.9%から大きく跳ね上がりました。食品の上昇率も3.2%に拡大しており、幅広いモノやサービスに価格転嫁が進んでいます。
一方で、米国の雇用情勢は底堅さを見せています。4月の農業部門を除く就業者数は前月より11.5万人増加し、2カ月連続で10万人超のプラスを維持しました。しかし、インフレ圧力の再燃を受けて、市場では年内の利下げへの期待が急速に縮小しています。シカゴ・マーカンタイル取引所の金利先物動向に基づく「Fedウォッチ」では、年内の政策金利据え置き予想が約6割に達し、利上げを予想する声も4割弱を占める状況です。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)の人事にも大きな動きがありました。ジェローム・パウエル議長が5月15日で任期満了を迎えるにあたり、米連邦議会上院は13日、次期FRB議長に指名されたケビン・ウォーシュ元理事の人事案を賛成多数で承認しました。ウォーシュ氏は6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)から金融政策を取り仕切ることになりますが、インフレ高止まりの中で難しい舵取りを迫られることになります。
貯蓄の取り崩しに追われる米国の家計、個人消費の減速リスクが高まる
急速な物価上昇に直面している米国家計は、深刻な負担増を強いられています。車社会である米国において生活必需品であるガソリン価格の急騰は家計を直撃しており、消費者は日々の生活費を賄うために貯蓄の取り崩しに追われています。
米商務省のデータなどによると、個人の可処分所得に対する貯蓄の割合を示す「貯蓄率」は、3月時点で3.6%に低下し、2022年10月以来、3年5カ月ぶりの低水準となりました。新型コロナウイルス流行前の2000年から2019年の平均貯蓄率が5.2%であったことと比較しても、足元の水準は歴史的に見て非常に低くなっています。
物価高に対して賃金や所得の伸びが追いついておらず、背伸びをした消費となっていることを意味します。貯蓄を大きく減らした家計が今後、本格的な節約志向に転じた場合、消費者マインドの冷え込みが実際の消費活動に影を落とし、景気の重荷となるおそれがあります。





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