
ソフトバンクグループ(SBG)が発表した2026年3月期連結決算(国際会計基準)で、最終利益(親会社の所有者に帰属する当期利益)が前期比約4.3倍の5兆22億円となり、日本企業の通期決算として過去最高を更新しました。
5兆円台の最終利益は国内企業で初めてであり、生成AIブームを背景にした投資先企業の評価益が一気に顕在化した格好です。
売上高は前期比7.7%増の7兆7987億円、税引前利益は同約2.6倍の6兆1349億円と、すべての利益項目で大幅な増益となりました。
中でも、傘下の投資ファンドを通じて出資する米オープンAI(OpenAI)などAI関連企業の株式価値上昇が決算を大きく押し上げています。
投資事業の収益を示す投資利益は7兆2865億円と、前期の約2倍に拡大しました。
このうち、対話型AI「ChatGPT」で知られるオープンAIへの出資に関連する投資利益が6兆7304億円を占め、投資利益全体の9割超を構成する規模となっています。
オープンAIの企業価値は直近の資金調達などを通じて大きく上昇しており、その評価益がSBGの業績に反映された形です。
SBGはすでにオープンAIに対して累計646億ドル(約10兆円)規模の出資コミットメントを行っているとされ、追加出資を含めた「賭け金」は10兆円規模に達します。
2月に約300億ドル(約4兆6700億円)の追加出資を決定し、4月に第1弾の100億ドルを実行済みで、残りは7月と10月に投じる計画です。
こうした巨額投資によって、SBGは生成AIの中核プレーヤーとされるオープンAIとの資本関係を一段と強化しています。
決算説明会では、後藤芳光CFOが「5兆円という数字そのものよりも、生成AI分野でオープンAIと強いタッグを組み、成長の果実を取り込んでいくことが重要だ」と強調し、中長期的な事業拡大への手応えを示しました。
一方で、市場では、総額10兆円規模に達する出資が今後の財務負担やリスク要因になり得るとの見方もあり、SBGの積極的なAI投資戦略をどう評価するかが焦点となっています。
生成AI「一本足」への懸念と次の成長戦略
今回の決算は、オープンAI関連の評価益がSBGの利益構造を大きく左右する状態になっていることを改めて浮き彫りにしました。
投資利益7兆2865億円のうち6兆7304億円がオープンAI関連とされる中、生成AIの企業評価や市場環境が変動した場合、業績が大きく振れるリスクも内包しています。
一方で、SBGはオープンAIを軸に、半導体やロボティクスといった周辺分野への投資も強化しています。
英半導体設計大手アームの上場後の株価推移などを踏まえ、AIインフラやロボット関連ビジネスとのシナジーを狙う動きが続いており、「ポスト・オープンAI」の収益源を育てられるかが問われています。
オープンAIの資本構成を巡っては、マイクロソフトに続きSBGも大口株主として名を連ねており、含み益は数兆円規模に達していると推計されています。
ただ、生成AIを巡る技術競争は激しく、競合の台頭や規制強化によって企業価値が変動する可能性もあり、SBGの収益が評価益頼みになりすぎていないかという視点も重要になっています。SBGは今後もオープンAIへの追加投資と並行して、AIを活用した新規事業やスタートアップ投資を拡大する方針とされます。
生成AIの本格普及に向けて、通信やクラウド、ロボットなどグループ全体でどのようにAIを組み込み、安定的な収益源へと転換していくのかが、5兆円という記録的利益の持続可能性を左右しそうです。












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