
中国の北京にある人民大会堂で5月14日午前、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席による米中首脳会談が行われました。この会談において習氏は台湾問題に言及し、適切に処理されなければ両国が「衝突」し、米中関係全体を非常に危険な状況に追い込むことになると、強い警告を発しました。約2時間半に及んだ会談の終了前に中国側が発言内容を異例の早さで公表したことは、全てが予定調和的な共産党政治において極めて衝撃的であり、このメッセージの重大さを浮き彫りにしています。
米国の議会では、2025年1月に承認された台湾への140億ドル(約2兆円)規模の武器売却計画の手続きを迅速に進めるよう、超党派の議員がトランプ大統領に求める書簡を送付しています。米国の台湾支援を交渉の対象にしないよう釘を刺す狙いですが、トランプ氏が中国への配慮からこの計画を少しでも破棄すれば議会の強い反発を招き、承認すれば中国のさらなる怒りを買うというジレンマに直面しています。仮に売却交渉が行われれば、1982年に当時のレーガン大統領が示した台湾への「六つの保証」という外交上の慣例を覆す歴史的な方針転換となります。
習氏の直接的な警告後、トランプ氏は記者団への結果説明を行わず異例の沈黙を続けました。米国側の会談要旨でも台湾に関する言及はありませんでしたが、15日午前のSNS投稿では「中国との関係がこれまで以上に強く良好なものになると期待している」と述べています。また、ルビオ米国務長官は、台湾への武器売却は「目立つ形では取り上げられなかった」と語りました。14日夜の国賓晩さん会でトランプ大統領は、習近平国家主席を9月24日にワシントンのホワイトハウスへ招待すると明らかにしており、年内にあと3回見込まれる首脳会談を通じて、対米関係の行方を見極める方針です。
背景にある中国のレアアース支配と外交的威圧
中国が今回の会談で強硬姿勢を示す背景には、米国に対する強力な交渉カードと自信の表れがあります。2025年にトランプ氏が高関税を課した際、中国は医療機器や航空機部品などに不可欠なレアアース(希土類)の供給制限を切り札として関税を撤回させました。米国で使用されるレアアースの大半は中国産に依存しています。加えて、イランでの戦争によって米国の兵器在庫が大きく消耗し、補充に数年を要する状況も、中国の立場をいっそう強めています。
さらに首脳会談に先立つ4月、中国は台湾の親中派野党の党首を招いて10年ぶりの会談を行う一方、独立維持を支持する頼清徳総統に対しては、アフリカ3カ国に圧力をかけ搭乗機の領空通過を拒否させるなど、経済的威圧と空路封鎖をセットにした妨害工作を行いました。圧倒的なサプライチェーンの優位性と米国の足元を見透かした上で、習氏は台湾問題への介入がいかに危険な状況を引き起こすかという事実を、トランプ氏の心に深く刻み込もうとしていると考えられます。












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