グーグルとスペースX、宇宙空間へのAIデータセンター構築で提携協議

米グーグル(Alphabet)が、イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースX(SpaceX)と、宇宙空間でのAIデータセンター構築に向けたロケット打ち上げ契約について協議していることが明らかになりました。
グーグルはすでに2025年11月、宇宙データセンター計画「プロジェクト・サンキャッチャー(Project Suncatcher)」を発表しています。 この計画は、グーグルが独自開発したAI専用チップ「TPU(テンソル・プロセッシング・ユニット)」を搭載した太陽光発電衛星をネットワーク化し、地球低軌道上に大規模なAIクラウド基盤を構築するという構想です。 放射線耐性テストをクリアしたTPUを搭載した試作衛星を2027年初頭までに打ち上げ、光空間通信を用いた衛星間ネットワーク構築の検証を目指しています。
グーグルはスペースXとの契約が成立しない場合、ジェフ・ベゾス氏が所有するブルー・オリジン(Blue Origin)、軌道打ち上げを専門とするロケット・ラボ(Rocket Lab)、またはユナイテッド・ローンチ・アライアンス(United Launch Alliance)との提携も検討しているとされています。 グーグルはスペースXの株式を約6.1%保有しており、今回の協議が進展すれば、AIと宇宙インフラにおける両社の連携はさらに深まると見られています。
宇宙空間にAIデータセンターを設置する背景には、地上インフラが抱える深刻な制約があります。AIモデルの学習・推論に必要な計算量は指数関数的に増加しており、大規模データセンターの新設には膨大な電力と土地、そしてサーバーを冷却するための大量の水が必要です。 世界のデータセンターが消費する水の量はすでに膨大な規模に上り、2030年にはさらに倍増するとの見通しも示されています。 こうした地上での資源制約や規制強化の動きが、テック各社を宇宙へと向かわせる大きな原動力となっています。
グーグルのスンダー・ピチャイCEOは、軌道上データセンターが「10年ほど」で新たな常識になる可能性があると述べており、宇宙空間では気象条件に左右されない太陽光発電により持続的な電力供給が可能なうえ、宇宙の低温環境を冷却に活用できるため、地上施設と比較してランニングコストや資源消費を大幅に抑制できると期待されています。
AIと宇宙の融合が加速、スペースXの動向と課題
スペースXを巡る宇宙AIインフラ構築の動きは、グーグルだけにとどまりません。AI開発企業のアンソロピック(Anthropic)は2026年5月、スペースXが保有するスーパーコンピューター「コロッサス1(Colossus 1)」の計算能力を全面的に利用する契約を締結しました。 同社はエヌビディア製GPU22万基超、300メガワットを超える処理能力を持つ同施設を活用するとともに、「数ギガワット規模の軌道上AIコンピューティング能力」の開発においてもスペースXとの提携に関心を示しています。
一方、スペースX自身も米証券取引委員会(SEC)に提出したIPO(新規株式公開)に向けた登録届出書の中で、軌道上AIデータセンターの構想について「実証されていない技術に基づいており、商業的に実現できない可能性がある」とリスクを明記しており、宇宙環境による機能不全や故障リスクも指摘されています。 軌道上の建設コストが地上の約3倍に上るとの試算もあり、構想の実現には技術・経済両面での課題が残されています。
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