
人工知能(AI)ブームを背景に業績を急拡大させているキオクシアホールディングスは15日、2027年3月期第1四半期(4-6月期)の営業利益が前年同期比約29倍の1兆2980億円になる見通しだと発表しました。これはアナリスト予想平均の8741億円を大幅に上回る水準です。同四半期の売上高は前年同期比5.1倍の1兆7500億円を見込んでいます。また、直近の2026年3月期(前期)の営業利益は前の期比約93%増の8703億円、最終利益は2.0倍の5544億円となり、いずれも過去最高を記録しました。
好業績の要因は、AI需要の急拡大に伴いデータセンター(DC)向けで同社が強みとするNAND型フラッシュメモリーの供給不足が継続し、1-3月期の販売単価が2倍以上の猛烈なスピードで急騰していることです。この歴史的な業績を好感し、同社の株価は15日終値ベースで年初来約4.3倍に急伸しました。時価総額は24兆2735億円に達し、国内の全上場企業の中でトヨタ自動車などに次ぐ4位へと猛烈なスピードで浮上しています。4月からは日経平均株価の構成銘柄にも採用され、日本株相場全体を強力に牽引する存在となっています。
太田裕雄社長は15日の決算会見で、「AI需要の大きな潮流に乗って、記録的な増収増益となった」と振り返り、「AI活用による社会変革を支える企業として中長期的な成長を目指す」と今後の展望を述べました。
市場関係者の間では、AI市場が「学習」から「推論」へシフトしていることが強い追い風になっているとの指摘が多く聞かれます。推論の拡大に伴い処理するデータ量が指数関数的に増えており、韓国のサムスン電子やSKハイニックスなどの競合他社が高帯域幅メモリー(HBM)に経営資源を集中させNANDの増産が限定的となる中で、NAND専業の同社は需要拡大の恩恵をフルに享受できる有利なポジションにあります。また、他社と比較して少ない投資で供給を増やす独自の高密度化技術が、同社のコスト競争力の優位性につながっているとの見方もあり、世界的なAIスーパーサイクルの波に乗る同社の今後のグローバル展開に、市場の熱い視線が注がれています。
米国預託証券の上場準備と今後の株主還元方針について
歴史的な業績の急拡大を受けて、市場参加者の間では株主還元に対する期待が急速に高まっていますが、キオクシアHDは15日、2027年3月期の中間配当予想を無配(0円)とすることを公表し、当面は利益を内部に留保する見通しを示しました。期末配当予想についても現時点では未定としています。
河村芳彦最高財務責任者(CFO)は、株主還元の方向性について配当や自社株買いを含めた幅広い企業価値向上策を検討しているとしつつも、「まずは配当を優先するべき」との基本的な考えを示しました。現状において自社株買いの実施を見送る理由については、足元の株価水準が非常に高く、今自社株買いを実施しても株価に対する効果は限定的であると判断したためだと説明しています。詳細な方針は6月に予定されているIR説明会で示される予定です。
さらに同社は、普通株式を対象とした米国預託証券の米国の証券取引所への上場に向けた準備を進めていることも明らかにしました。グローバル市場での資金調達手段を確立し、さらなる成長基盤を固める狙いがあるとみられています。
かつて東芝の中核事業であった同社は、2018年に2兆円で日米韓連合に売却されたのち、2024年に上場を果たしました。そこからわずかな期間で国内屈指の時価総額企業へと躍進を遂げており、世界的なAIスーパーサイクルの波に乗る同社の今後のグローバル展開に、市場の熱い視線が注がれています。
キオクシアホールディングスのこれまでの動きについては下記もお読みください。
https://tokyonewsmedia.com/archives/tag/kioxia-holdings












-300x169.jpg)