
フランス南部で開催中の第79回カンヌ国際映画祭は、世界中の映画ファンが注目する最高峰の映画祭です。本年、最高賞である「パルムドール」を競うコンペティション部門に、日本から是枝裕和監督の最新作『箱の中の羊』(2026年5月29日公開)が選出されました。本作は、少し先の未来を舞台に、愛する息子を亡くした夫婦が、亡き息子とまったく同じ姿と声を持つ7歳のヒューマノイドを家族として迎え入れる姿を描いた人間ドラマです。
監督・脚本・編集を是枝裕和監督が務め、音楽を坂東祐大さんが担当しています。夫婦役である建築家の妻・音々(ねね)を綾瀬はるかさん、工務店社長の夫・健介をお笑いコンビ「千鳥」の大悟さんがダブル主演で務め、ヒューマノイドの息子・翔役にオーディションで選ばれた桒木里夢さんが抜擢されるという斬新なキャスティングでも大きな話題を呼んでいます。
現地時間16日、約2300人を収容する大劇場で公式上映が行われ、上映後には9分間にもおよぶ熱狂的なスタンディングオベーションが巻き起こりました。その後行われた公式会見には、是枝監督をはじめ、主演の綾瀬さん、大悟さん、桒木さん、本作の音楽を担当した坂東祐大さんが登壇しました。

会見で是枝監督は、「こんなにたくさんの拍手を本当にありがとうございました」と深い感謝を述べました。続けて本作の出発点について、「技術が進歩してもなお残る最も人間らしいものは何だろうか。それを見た方が見終わった後に探っていけるような物語を書きたいと思った」と明かしました。また、テーマであるグリーフワークの描写について、「ヒューマノイドが消えた後に残る声であったり、庭にある木に死者をイメージする想像力みたいなものが、私たちがグリーフワークを進めていく上でも縁(よすが)になるのではないかと考えた」と語り、さらに「手作業の無駄を無駄と捉えないっていうことで人間が踏ん張っていくことが映画作りにおいても大事」と、自身の信念を言葉にしました。

一方、音楽を担当した坂東祐大さんは、「音楽で語らなきゃいけないところもあるし、語りすぎてもいけないところがある。このブレーキとアクセルをどうやって踏み分けるかという部分を何度もトライしました」と、感情表現への緻密なアプローチについて手応えを明かしました。
現地の熱狂とキャスト陣が語る作品への想い

俳優陣からも、作品のテーマや撮影現場についての率直な言葉が飛び出しました。
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妻・音々役の綾瀬はるかさんは、「『ここで笑いが起きるんだ』と日本とは違う反応が新鮮でした」と上映中の手応えを振り返り、作品のテーマについて「考えたり悩んだり、何かを愛したり、寄り道したりするのは人間らしさだったりもするので、そういうものはなくならないでほしい」と言及。また「日々どんどん進化していく。夜寝ないできっと編集されてすごい集中力とエネルギー」と監督の姿勢を称賛しました。
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夫・健介役の大悟さんは、「是枝監督はカンヌに来て『すっげえ人なんや』と思いました」と会場を沸かせつつ、AIについて「まだそんなに大丈夫じゃないかなと思ってますけど、まあそのうち怖いですね」とユーモアを交えて回答。自身の役作りについても「(綾瀬さんが嫁という)勘違いしたまんまがちょうどいいかなと思って」と語り、笑いを誘いました。
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また、子役の桒木里夢さんは、ヒューマノイド役の工夫について「自分の通りでやっていいよって言われた」と監督からの指示が自然体であったことを明かし、大舞台での充実感を初々しく語りました。異なる才能が結集し、人間とAIの境界線や新たな家族の形を問いかける本作の奥深さが伺える会見となりました。
















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