
モーター大手のニデックが、電気自動車(EV)向け駆動装置「eアクスル」事業を大幅に縮小し、中国の広州汽車集団との合弁解消に向けた協議を進めていることが明らかになりました。 創業者の永守重信氏が主導して拡大してきた成長事業でしたが、中国市場での激しい価格競争により採算が悪化し、これまでの拡大路線からの転換を迫られた形です。
ニデックは2019年に広州汽車とEV向け「eアクスル」を生産する合弁会社を設立し、中国市場向けに本格的な供給体制を整えてきました。 「eアクスル」はモーターやインバーター、減速機などを一体化した駆動装置で、EVの中核部品として各社が競って開発・供給している分野です。 しかし、中国では同分野がいわゆる「レッドオーシャン」と呼ばれる過当競争状態となり、価格下落が続いた結果、ニデックの収益も大幅に悪化したとされています。
岸田光哉社長はインタビューの中で「レッドオーシャンになっているeアクスル事業からは撤退したい」と述べ、中国・欧州で展開している合弁事業を含め抜本的な見直しに着手していることを示唆しました。 とくに中国の広州汽車集団とは、合弁の解消に向けた具体的な協議を開始しており、今後は持分や設備、知的財産権などの取り扱いが焦点になるとみられます。
ニデックは欧米自動車大手ステランティスともEV向け駆動装置の合弁会社を立ち上げており、この合弁についても解消を視野に検討を進めていると報じられています。 すでに同社は2024年の段階で、eアクスル事業の計画見直しに踏み切り、数量重視から収益重視へと方針転換を図っていましたが、今回はさらに踏み込んだ構造改革となります。 創業者・永守氏の肝いりで成長の象徴とされてきた事業だけに、株式市場や取引先からもニデックの今後の成長戦略を注視する声が強まっています。
拡大路線から収益重視へ ニデックの自動車事業戦略転換
ニデックはこれまで、自動車向け事業を成長の柱と位置付け、EV向け「eアクスル」を軸に世界の完成車メーカー向けの供給拡大を進めてきました。 しかし、中国市場では現地メーカーを含め多くの競合が参入し、eアクスルの価格競争が激化したことで、同社は2024年に事業計画を見直し、納入先の絞り込みや新規モデルの投入延期など、収益改善に向けた対策を打ち出していました。
今回の合弁解消に向けた協議は、その延長線上にある一層踏み込んだ措置であり、ニデックは今後、eアクスルそのものよりも、その周辺部品や自動車の電子化に伴う新規分野に重点を移す方針とされています。 EV市場の成長は続く一方で、標準化が進む部品分野では利益確保が難しくなりつつあり、同社は資本や人員をより収益性の高い領域へ再配分することで、企業全体としての収益基盤強化を図る考えです。
一連の構造改革の背景には、ニデックで相次いで発覚した不正会計や品質不正問題もあります。eアクスル事業は不正の温床になっていたと指摘する報道もあり、同社はガバナンスの立て直しとともに、収益性やリスク管理の観点から事業ポートフォリオを見直していると伝えられています。 EVシフトの潮流が続く中で、ニデックの戦略転換は、単なる一企業の事業再編にとどまらず、日本勢が世界のEV部品市場でいかに存在感を維持するかという課題も浮き彫りにしていると言えます。
今回の動きは、EV関連投資を加速させてきた国内外メーカーにとっても、過熱した競争の見直しと収益重視への転換が進みつつあることを象徴する事例として受け止められています。 ニデックが今後どのように自動車分野での成長路線を再構築するのか、広州汽車やステランティスとの協議の行方とあわせて、各方面の関心が集まっています。












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