
日本の高市早苗首相は5月19日、韓国の李在明大統領と同国南東部・慶尚北道の安東市で首脳会談を行いました。両首脳は少人数会合を含めて約1時間40分間にわたり協議し、中東情勢の混乱長期化を見据えたエネルギー安全保障協力に関する共同プレスリリース(共同文書)を発表しました。原油や精製品の調達ルートであるホルムズ海峡の事実上の封鎖などによる重要物資の調達不安に対応するため、有事におけるエネルギーの安定供給体制を構築することで一致しました。
この協力の根幹として、原油や石油製品の相互融通を具体的に検討するための官民対話を進めるほか、両国の実務高官が参加する「産業・通商政策対話」を新設します。特に石油製品ではジェット燃料などの緊急融通が念頭に置かれており、不必要な輸出規制の抑制や輸送面での連携強化が図られます。さらに、日本が提唱する東南アジアなどへの総額約100億ドル(約1.6兆円)規模の金融支援枠組みである「パワーアジア」に韓国が協力する可能性についても検討することが共同文書に明記されました。
今回の合意に基づく日韓両国の協力要点は、両国のエネルギー調達における現状を踏まえ、主に3つの分野に整理されます。
第一に、石油製品・原油分野においては、両国ともに中東への依存度が極めて高いという現状があります。韓国は輸出する燃料油の約1割を日本へ供給しており、今回の合意では、ジェット燃料などを想定した緊急時における相互融通を検討する官民対話を推進することや、危機下においても不必要な輸出規制を抑制していくことが確認されました。
第二に、液化天然ガス(LNG)分野に関しては、日本が世界第2位、韓国が世界第3位の輸入国であることから、供給網の強靱化および緊急時の相互融通に関する協力を強化することで一致しました。
第三に、第三国との連携や対話枠組みについては、アジアへのエネルギー支援に向けた枠組みが存在することを踏まえ、日本が主導する「パワーアジア」での協力を日韓で検討していくことが明記されました。加えて、一連の協力策を具体的に協議するため、日本の経済産業省と韓国の産業通商資源省の高官が参加する対話枠組みを新設することも合意されました。
シャトル外交の定着と緊迫する国際情勢に対する防衛・安保協力の強化
今回の訪韓は、首脳同士が緊密に往来を重ねる「シャトル外交」の一環として行われました。会談地となった安東市は李在明大統領の出身地であり、今年1月に李大統領が来日した際に高市首相の地元である奈良を訪れたことへの返礼としての招待でした。韓国大統領府は高市首相に対し「国賓に準ずる礼遇」を施し、両国の強固な信頼関係をアピールしました。
両首脳は、14日から15日に北京で実施された米中首脳会談の結果を分析し、日米韓3カ国による防衛や経済安全保障分野での連携強化について意見を交わしました。さらに、北朝鮮のロシア接近に伴う軍実に毅然と対処するため、共通の同盟国である米国を交えた「日米韓3カ国」の連携体制を維持・強化する方針を確認しました。会談後、高市首相は「世界全体が不安定化する中、日韓首脳がシャトル外交で緊密に意思疎通を行うことは極めて大きな意義を有する」と述べ、安全保障上の連携を着実に進展させる姿勢を表明しました。
ネット上では、このエネルギー安保協力に対して「有事における資源の相互補完体制は現実的な国益にかなう」「地政学的リスクを考慮すると妥当な判断」と肯定的な受け止めがある一方で、「実際の緊急時にルールが本当に有効機能するのか」「相手国の政治情勢に左右されないか不安が残る」といった、今後の実効性を慎重に見極めるべきだとする意見も上がっています。












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