
日本政府が、エネルギー価格の高止まりを受けた物価高対策として、2026年度補正予算の編成を本格検討しています。 その財源の有力案として、新たな特例公債(赤字国債)の発行を含める方向で調整が進んでいることが明らかになりました。 赤字国債に依存する度合いが高まれば、すでに膨らんでいる国の債務残高が一段と増えることになり、「責任ある積極財政」を掲げる政府の姿勢に対し、市場が厳しく目を凝らす展開も予想されます。
政府内では現在、補正予算の具体的な規模や編成時期について詰めの協議が続いていますが、背景には原油や液化天然ガス(LNG)価格の上昇があります。 中東情勢の緊迫化などを受けてエネルギー価格が上昇し、家計や企業の負担増が避けられないと見込まれているためです。 こうした状況のなか、政府はガソリン価格の急騰を抑えるための補助金を継続し、全国平均で1リットルあたりおおむね170円程度に抑える水準を維持する方針です。
ガソリン補助の財源となっている基金は、4月末時点で約9800億円とされ、現在の支援水準を続ければ、6月下旬にも底をつく可能性が指摘されています。 その穴埋めとして、2026年度当初予算に計上された1兆円の予備費を活用する案が検討されているものの、予備費だけでは十分な余力がないとの見方が強く、補正予算による手当てが避けられないとの判断が広がっています。 夏場の電力需要の増加期を見据え、電気料金とガス料金への補助を再開する案も俎上に載っており、エネルギー関連支出が補正予算の主要項目となる見通しです。
一方で、国の財政運営をめぐっては、すでに当初予算ベースで一般会計総額が120兆円を超える規模となるなか、新規国債発行額も増加傾向にあります。 政府は、赤字国債の発行根拠を複数年度にわたり認める特例公債法について、2026年度以降も5年間延長する方針を示しており、中長期的な財源確保策として国債依存度が高止まりする構図が続いています。 今回の補正予算で新たな特例公債を追加発行することになれば、財政規律との両立をどう図るかが、改めて問われることになりそうです。
長期金利は約30年ぶり水準 市場は財政・インフレ懸念を意識
こうした補正予算や赤字国債の検討と歩調を合わせるように、国内の長期金利は上昇基調を強めています。 債券市場では、新発10年物国債の利回りが5月中旬に一時2.6%台を付け、約29年ぶりの高水準を更新しました。 1週間程度の短期間で0.3ポイント前後の上昇となった局面もあり、市場ではインフレ加速に加え、財政拡張への懸念が金利上昇圧力につながっているとの見方が出ています。
金利上昇は、住宅ローン金利や企業の資金調達コストにも波及するため、家計や企業活動にとって新たな負担要因となる可能性があります。 一方で、物価高が続く中で名目金利が上昇する動きは、日銀の金融政策の正常化観測とも相まって、市場参加者の間で「金利のある経済」への移行を意識させる局面ともなっています。 政府が追加の物価高対策を打ち出しつつも、その財源として赤字国債に依存する度合いが高まれば、長期金利を通じて市場の警戒感が一段と強まるリスクも否定できません。
他方、政府は物価高対策として電気・ガス料金の支援を冬季にも実施しており、2026年1~3月分の料金について、家庭や中小企業向けに1キロワット時あたり数円規模の補助を行っています。 こうしたエネルギー価格支援は、家計の負担軽減には一定の効果がある一方で、補助が長期化するほど財政へのしわ寄せが大きくなる構図です。 物価高から暮らしを守るという政策目標と、将来世代への負担を抑える財政健全化の両立をどう図るのか、政府・与党の判断と説明責任が一層重みを増していると言えます。












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