
米国の長期金利が急激な上昇を見せています。米30年物国債の利回りは19日、一時5.19%まで急伸し、リーマン・ショック以前の2007年以来、実に約19年ぶりとなる記録的な高水準に達しました。債券が売られて価格が大きく下落している状況であり、米国債の全体的な指標となる10年物国債の利回りも、一時0.1%上昇の4.69%へと上昇しています。
金利上昇の背景にある最大の要因は、世界的なインフレ懸念の再燃です。中東のイラン紛争やホルムズ海峡の実質的な封鎖リスクに伴う原油などのエネルギー価格の高騰が影を落としています。これにより、3月の米個人消費支出(PCE)物価が大きく上昇するなど、インフレの長期化が警戒されています。これに加えて、膨張する米国の財政リスクに対する投資家の懸念も強まっています。ニューヨーク連邦準備銀行が計算する、経済や財政などへの警戒に伴う上乗せ金利を示す10年物の「タームプレミアム」は、15日に0.82%と昨年9月以来の高水準を記録し、投資家がより高い利回りを要求している状況が浮き彫りとなっています。
さらに、相場下落を加速させているのがヘッジファンドによる大規模な米国債売りです。ヘッジファンドはレバレッジをかけ、米国債の現物と先物の価格差に注目した「ベーシス取引」などを手掛けています。米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミストであるトルステン・スロック氏によれば、米国債市場におけるヘッジファンドの保有割合は過去最高の8%にまで上昇しました。
2021年の3%前後から短期間で急増しており、米財務省金融調査局(OFR)は「ヘッジファンドの投資ポジションの急速な解消は、米国債市場や他の市場に強いストレスを加える可能性がある」と警鐘を鳴らしています。政府が明確な指針を出すまで長期国債は買えないとの警戒感が広がっています。
米国債離れと株式市場への下押し圧力
投資家の間では米国債離れが一段と強まっており、長期債や超長期債の利回りは当面の間、上昇を続けるとの見方が大勢を占めています。大手米銀バンク・オブ・アメリカが5月に実施した世界の機関投資家調査によれば、今後12カ月間に30年債の利回りが6%を上回るとの回答は全体の62%から66%に達しました。一方で、利回りが4%以下に低下するとの回答は20%にとどまっており、シティグループも次なる節目を5.5%と予想しています。
このような米国債利回りの急激な上昇は、株式相場に対して極めて強い下押し圧力を加えています。S&P500の株式益回りは12カ月先予想ベースで4.6%となっており、米30年物国債の利回り(5.1%)を下回っています。このマイナス0.5%という差分は2002年以来の大きさであり、無リスク資産である国債の利回りが株式の益回りを上回る異常事態です。国債と比較した株式の割高感が歴史的な水準まで強まっており、ハイテク株を中心に利益確定売りが連鎖するリスクが懸念されるなど、株式市場にとっても大きな転機となる可能性があります。












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