
森永製菓は5月21日、1969年発売のロングセラーキャラメル「ハイソフト〈ミルク〉」と「塩キャラメル」の出荷を一時休止していると明らかにしました。中東情勢緊迫化の影響で一部の原材料の調達が難しくなったためです。店頭の在庫がなくなり次第、休売となります。調達が困難になっている具体的な材料については「原材料は基本的に開示しない」としており、再開時期についても「未定」としています。同社は現状でこれら2商品以外に休売を予定している商品はないとしつつも、「今後の可能性は排除できない」と警戒感を示しています。また、同社はキャラメルの一部商品について一粒ずつ包む包装紙のデザインを変更したことも明かしており、企業側は商品供給を維持するための苦しい対応を迫られています。
中東情勢の悪化に伴う原油やナフサ(粗製ガソリン)の価格高騰は、食品メーカーの包装材だけでなく、農作物の生産現場から流通に至るまで幅広い分野で深刻なコスト増を引き起こしています。茨城県坂東市の畑でハクサイを生産する農家からは、「燃料や石油由来の資材を使わないわけにはいかず、工夫のしようがない」と切実な声が上がっています。雑草の成長を抑制するために畑の畝を覆う「マルチシート」などの石油化学製品について、大倉工業(香川県)は4月21日出荷分から値上げを実施しました。ナフサの調達環境の悪化を理由に、一部製品の値上げ幅は従来の価格の3割以上となっており、同様の動きは今後他社にも広がる見通しです。加えて、農家はハクサイを食品加工業者に納品するための輸送費用についても、燃料油価格の大幅な上昇によって価格の見直し交渉が必要になるかもしれないと不安を抱えています。
さらに、農作物が小売店の店頭に並ぶまでに必要な鮮度を維持するためのフィルムや袋、トレーなどの容器に関しても、ナフサを原材料とする製品が多く、値上げの波が押し寄せています。食品包装材などを手がけるデンカポリマー(東京都)は4月、業務用ラップを5月納入分から35%以上、プラスチック製容器を6月納入分から30%以上価格を引き上げると発表し、「自助努力のみでは価格を維持することが極めて困難な状況」と説明しています。また、コメ袋の販売を手がける都内の業者は、フィルムや袋への印刷に使うインクの供給悪化による原材料の値上げの動きについて「経験したことのないペース」と危機感をあらわにしています。全国農業協同組合連合会(JA全農)も4月以降順次、各地域の農協への資材の販売価格を引き上げる方針を示しており、生産・流通コストの増大が飲食料品のさらなる値上がりにつながる懸念が高まっています。
政府による家計負担軽減策と補正予算の検討
物価高への懸念が社会全体で深まる中、政府・与党は中東情勢を踏まえた家計の負担軽減策として、7月から9月の電気・ガス料金の補助に向けて、2026年度予算の予備費から約5000億円を支出する方向で調整に入りました。26日にも閣議決定される見通しとなっています。電気・ガス料金は通常3〜5か月前の燃料価格に連動して決まるため、現在進行している燃料価格高騰の影響が今夏以降に本格的に料金へ反映され、家計の負担増が避けられないと懸念されているためです。2026年度予算に計上された予備費は1兆円ですが、今回の補助を実施すれば残額は5000億円程度となる見込みです。
また、燃料価格高騰への対応として実施されているガソリン価格を抑制するための基金についても、6月末には枯渇する可能性があると指摘されています。そのため、政府は既存の予備費の活用のみならず、新たに補正予算の編成についても検討を進めており、農業や食品産業を含む幅広い業界からの切実な声に応えるための追加的な政策対応が注目されています。
ナフサ不足によるカルビーやカゴメなど森永製菓以外の食品メーカーのパッケージ対応については下記記事をお読みください。
https://tokyonewsmedia.com/archives/22730

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