
楽天銀行は5月20日、みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほ銀行からの出資受け入れと、資本業務提携の締結を発表しました。 みずほ銀行は楽天銀行株を取得し、議決権ベースで10.52%を保有する主要株主となる見通しで、出資完了は10月1日ごろを予定しています。 両社はこれまでも、みずほ証券が楽天証券に49%出資するほか、みずほ側が楽天カード株を保有するなど、金融サービス分野で関係を深めてきました。 今回は、このうち楽天カード向けの出資約1650億円分を楽天銀行株式へと振り替える再編が柱となります。
背景には、金利上昇を受けた「金利のある世界」の定着により、銀行にとって預金獲得競争の重要性が一段と高まっているという環境変化があります。 実店舗網を持つ大手銀行と、ネット完結型のインターネット銀行の双方が顧客基盤拡大を狙うなかで、楽天グループとみずほFGは、個人から法人まで幅広い領域で協業を深めることで競争力を高めたい考えです。 楽天グループは2026年2月、銀行・カード・証券などのフィンテック事業を1つのグループに集約する再編構想を公表しており、今回の提携はその流れを具体化する一手と位置づけられます。
再編後は、楽天銀行が持株会社的な役割を担い、完全子会社として楽天カードと楽天証券ホールディングスを傘下に収める体制となる予定です。 みずほ銀行との新たな提携スキームでは、みずほ銀行が保有する法人向け貸出債権の一部を楽天銀行へ販売するなど、法人ビジネス分野での連携も盛り込まれます。 これにより、楽天銀行は個人向けのネットバンキングやカード、証券取引に加え、法人向け融資分野でも事業領域を広げる可能性があります。 同時に、みずほ側にとっては、楽天のデジタル基盤やポイント経済圏を活用することで、個人向けサービスの拡充と新たな顧客層の開拓が期待されています。
利益押し上げ効果と今後の焦点
楽天銀行は今回の再編と資本業務提携により、2028年3月期に経常利益ベースで約330億円の押し上げ効果を見込んでいます。 さらに、中長期的には年間850億円以上の利益上積みを目標としており、2030年3月期には経常利益4000億円規模を視野に入れているとの見方も市場では出ています。 銀行・カード・証券を一体で運営し、預金口座、クレジット決済、投資サービスを組み合わせて提供することで、顧客の囲い込みとクロスセルを加速させる狙いです。
一方、市場では楽天銀行株が再編発表後に急落し、短期的には不透明感も意識されています。 みずほ銀行が楽天カードから撤退し、出資先を楽天銀行に切り替えることが、カード事業とのシナジーにどのような影響を与えるのかを慎重に見極める向きもあります。 ただ、再編後も楽天銀行は楽天グループの重要な連結子会社として位置づけられ、東京証券取引所プライム市場への上場維持を予定していることから、経営の独立性と成長投資の両立を図る構えです。
今後の焦点は、具体的な商品・サービス面での連携がどこまで進むかに移ります。みずほ銀行の法人取引先と楽天の個人顧客基盤をどう結び付けるか、また、共通ポイントやデジタルチャネルを活用した新サービスをどこまで拡充できるかが、シナジー実現の鍵となりそうです。 金利環境の変化やフィンテック競争の激化が続くなかで、両社の提携が国内金融市場にどのような影響を与えるのか、引き続き注目が集まります。












-300x169.jpg)