中東紛争で世界の原油在庫が急減 供給不安強まり価格上昇圧力

中東紛争で世界の原油在庫が急減 供給不安強まり価格上昇圧力

ホルムズ海峡の事実上の封鎖が続くなか、世界の原油・石油製品在庫の急減に歯止めがかからない状況です。中東情勢の悪化を背景に、ホルムズ海峡周辺の輸出が細り、各国は高止まりする価格を抑えようと備蓄放出を進めており、在庫減少は構造的な供給不足の表れだと受け止められています。

米エネルギー情報局(EIA)の週次データによると、米国の原油・石油製品在庫は数週間にわたり大幅な減少が続いている状況です。過去最高水準の輸出と戦略石油備蓄(SPR)の放出が在庫取り崩しを加速させており、米国からの輸出拡大は中東産原油の供給制約を補う動きと連動しています。日本を含む各国が、ホルムズ海峡を通らない調達ルートとして米国産原油への依存を強めています。

一方、中東の緊迫は依然として出口が見えない状況です。EIAによると、同海峡を経由する石油は世界の海上取引量の約3割に相当し、供給途絶が現実となればエネルギー市場への打撃は計り知れません。経済産業省によると、日本が輸入する原油の約9割が同海峡を経由しており、封鎖が長期化した場合、日本経済への影響は深刻です。

国際エネルギー機関(IEA)は民間在庫の減少が加速していると繰り返し警告しており、仮に紛争が短期で収束した場合でも向こう数カ月は深刻な供給不足が続くとの見方が有力です。各国政府は価格高騰を抑えるために戦略備蓄の放出を進めてきましたが、その結果、危機対応の「緩衝材」が細っていることも懸念材料となっています。

ホルムズ海峡リスクと日本経済への波及

原油在庫の急減の背景には、ホルムズ海峡周辺の地政学リスクが色濃く影を落としています。2026年2月末の米・イスラエルによるイラン攻撃を受け、中東からの原油出荷が長期的に途絶した場合の影響について、日本のシンクタンクは物価高と景気悪化が共存するスタグフレーションへの懸念を相次いで示しました。

すでに原油価格の乱高下と日本株の大幅下落が確認されており、原油高が国内物価や消費に与える悪影響が意識されています。

日本政府は中東依存度を下げるため、米国産などホルムズ海峡を通らない原油調達の多様化やLNG・石油製品在庫の積み増しを進めています。ただ、在庫の取り崩しは世界的に進んでおり、供給ショックが長期化した場合には備蓄在庫による供給維持が困難になる懸念も否めません。

企業サイドでも、帝国データバンクの景気動向調査で「原油価格高騰・供給不安がコスト増と収益圧迫要因になっている」との回答が目立ちます。世界的な在庫減少、中東の地政学リスク、各国備蓄の取り崩しという三重の圧力が重なるなか、日本経済はエネルギーの安定確保と脱炭素の両立という二つの課題に、同時に対応を求められています。

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