
香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」がKADOKAWAの夏野剛最高経営責任者(CEO)の解任を求め、株主に賛同を呼びかけています。6月24日に開催予定の定時株主総会に向けて両者の対立が先鋭化しており、同社の経営の行方が注目されています。
オアシスは現在、KADOKAWAの株式を約13.76%保有する筆頭株主です。同ファンドは5月21日、「より強いKADOKAWA」と題した資料を公表し、夏野氏の解任決議案に賛成するよう株主に要請しました。オアシスは、夏野氏の在任5年間でKADOKAWAの業績が著しく悪化したと主張しています。1株当たり純利益(EPS)は夏野氏就任前の77.42円から2026年3月期には33.34円まで半分以下に低下し、自己資本利益率(ROE)も8.2%から0.5%程度に落ち込んだと指摘しています。
KADOKAWAが2026年3月期に発表した通期決算でも、業績悪化は数字で如実に表れています。売上高は前期比1.8%増の2829億円となったものの、営業利益は前期比51.3%減の81億円に落ち込みました。また、夏野氏就任前の2021年3月期の営業利益136億円と比較しても大幅に減少しており、営業利益率も6.5%から2.9%へと半減以下に縮小しています。
オアシスは業績不振の背景として、夏野氏が主導した出版・IP創出事業での「質より量」の戦略を問題視しています。年間7000件超のIP創出目標を掲げた結果、1タイトル当たりの収益性が低下し、「なろう・異世界系」など特定ジャンルへの偏重が市場飽和を招いたと批判しています。実際、出版・IP創出セグメントの営業利益は前年比51.6%減の40億円にとどまり、KADOKAWA本体の出版事業は10億円の営業赤字へ転落しました。KADOKAWAは新中期経営計画で刊行点数の抑制方針に転じており、オアシスはこれを自らの批判を認めた証拠と主張しています。
また、オアシスは夏野氏がKADOKAWAのCEOとドワンゴの社長を兼務しながら、グリーなど上場企業4社の社外取締役も務めている点や、テレビ出演を頻繁に行っている点を挙げ、経営への集中力が欠けていると批判しています。
KADOKAWAは続投方針、取締役会が反対を表明
一方、KADOKAWAの取締役会は5月14日、オアシスの株主提案に反対する方針を決議しています。夏野氏の続投が中長期的な企業価値の最大化につながるとの立場を示し、オアシスが指摘する問題点は「当社の事業運営の実情を正確に反映していない」と反論しています。
また、KADOKAWAは2025年1月にソニーグループから約500億円の出資を受け入れており、ソニーはかつて筆頭株主として約10%の株式を保有していました。オアシスは2020年から書簡やIR面談を通じてKADOKAWAへの経営改善を求める一方、株式の取得を進め、2026年3月にはソニーを上回る保有比率となり筆頭株主に浮上しました。6月24日の株主総会における両者の対決は、今後のKADOKAWAの経営方針を左右する重大な局面となります。






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