
厚生労働省は5月21日、加熱式たばこに関する研究班の評価結果を公表しました。同省の受動喫煙対策専門委員会に提示された報告によると、加熱式たばこを吸うことで副流煙に複数の発がん性物質やニコチンなどの有害化学物質が発生し、屋内では非喫煙者の受動喫煙につながる可能性が高いと指摘されています。一方で、受動喫煙による発がん性のほか、妊婦や子どもの健康への影響については、現時点では研究論文の数が少ないなどの理由から「判定できない」と結論づけられました。
呼吸器や心血管に関する疾患との関連性については、科学的根拠は明確ではないものの「影響が示唆される」と評価されています。同日に開かれた専門委員会では、出席した専門家から「加熱式たばこの普及から約10年程度しか経過しておらず、健康への影響を評価するには時間が足りない」との慎重な意見も出されました。また、「十分な科学的根拠がないことが、安全であることを積極的に支持するものではない」とし、社会に誤った印象を与えないよう注意を促す声も上がっています。
2020年4月に全面施行された改正健康増進法により、飲食店やホテルといった多数の人が利用する屋内施設では、原則としてたばこが吸えなくなりました。しかし、加熱式たばこに関しては受動喫煙の影響が十分に解明されていないとして、専用の喫煙室であれば飲食をしながらでも喫煙を認めるという「経過措置」がとられています。現在、加熱式たばこの利用は急速に拡大しており、2025年4月から12月にかけては、国内のたばこ販売量全体の46%を占めるに至っています。こうした状況を受け、専門委員会では、改正法の全面施行から5年が経過したことを踏まえ、この経過措置や一部の小規模飲食店における特例措置の是非について本格的な検討を進めています。
法規制の見直しに向けた課題と若年層への影響
今後の規制のあり方を巡っては、社会的な懸念材料も浮上しています。近年、ニコチン入りの電子たばこが日本の法規制の隙間を突き、初期費用や維持費の安さという「コストパフォーマンス」を背景に若者の間で流行している実態が指摘されています。また、加熱式たばこ市場を牽引するフィリップ・モリスの最高経営責任者(CEO)は、これまでの値上げが消費に与える影響について「楽観視している」との見解を示しており、価格引き上げによる消費抑制効果が限定的である可能性も示唆されています。
国レベルでの慎重な議論が続く一方で、地方自治体では独自の規制強化に乗り出す動きも見られます。横浜市では、2027年に開催される国際園芸博覧会(花博)を見据え、同年1月から市内全域での路上喫煙を全面的に禁止する方針を示しており、関内駅前などが重点地区に指定される見通しです。厚生労働省は、今回の研究結果やこうした社会情勢の変化を踏まえ、年内にも加熱式たばこの規制に関する新たな方向性を打ち出す方針です。












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