米軍、イラン南部を再び空爆 ホルムズ海峡巡る攻防が激化

米軍、イラン南部を再び空爆 ホルムズ海峡巡る攻防が激化

米軍がイラン南部バンダルアッバス周辺の軍事施設を夜間に攻撃し、ホルムズ海峡周辺で脅威となっていたイランの攻撃型無人機4機を撃墜したと、米当局者が明らかにしました。 ここ数日、ホルムズ海峡を舞台に米イラン間の軍事行動と外交協議が並行して進む中での新たな攻撃であり、同海峡を通過する船舶の安全を巡る緊張は一段と高まっています。 攻撃対象となったのは、イラン南部の港湾都市バンダルアッバスにある地上管制施設で、米側は「5機目のドローンが発射される直前だった」と説明しています。 これに先立ち、現地では未明に複数回の爆発音が確認されたと伝えられており、イラン側は米軍が同地域を空爆したと非難しています。

ホルムズ海峡周辺では、イラン革命防衛隊が米国の石油タンカーと対峙した後に米軍の空爆が行われたとされ、これまでのところ死傷者や建物被害は確認されていないと報じられています。 一方、イラン側は海峡を通過しようとした複数の船舶に対し警告射撃を行い、船舶が引き返したと主張しており、事実上の封鎖状態が続いています。 ホルムズ海峡は世界の原油輸送の要衝であり、航行の不安定化はエネルギー価格や海運に影響を与える可能性が高いと指摘されています。

トランプ米大統領は、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、イランとの協議は「順調」に進んでいるとしつつも、協議が失敗した場合には新たな軍事行動も辞さない姿勢を示しました。 大統領は「全ての人にとって『素晴らしい合意』となるか、あるいは合意そのものが成立しないかのどちらかだ」と述べ、イラン側に譲歩を迫る構図を改めて鮮明にしています。 その数時間後、米中央軍は声明を出し、「イラン軍の脅威から米軍部隊を守るため」に新たな攻撃を実施したと説明し、停戦下でも自衛目的の攻撃は継続する姿勢を明らかにしました。

イラン側も軍事的抑止力を誇示しています。イランの通信社は、同国が新たな防空システムを用いて「敵対的な」ステルス無人機を撃墜したと報道し、当局者の話として「もはやいかなるステルス無人機もペルシャ湾の空域に侵入できないというシグナルだ」と強調しました。 今年2月には、アラビア海で米空母に接近したイランの無人機が撃墜されたとの報道もあり、両国のドローン運用を巡る攻防は海域全体でエスカレートしています。

ホルムズ海峡と和平協議、アブラハム合意拡大が交錯

軍事的緊張が続く一方で、米国とイランは戦闘終結とホルムズ海峡の開放に向けた協議も進めています。イラン側の交渉責任者を務めるガリバフ国会議長らは25日、カタールの首都ドーハを訪れ、米国との和平合意の可能性について協議しました。 協議では、ホルムズ海峡の管理やイランが保有する高濃縮ウランが主要な争点となり、最終合意の一環としてイランの凍結資産の解除が検討されていると伝えられています。 米イラン双方が合意した場合、約30日後にホルムズ海峡を開放する案が協議されているとしており、合意の行方が海上輸送の正常化に直結するとみられています。

核問題を巡っては、イラン外務省が「枠組み合意が先に成立した場合にのみ協議の対象になる」としており、核開発問題の本格的な議論は停戦後に先送りする姿勢を崩していません。 こうした中、トランプ大統領はイランとの合意の一環として、サウジアラビアやカタール、エジプトなどに対し、イスラエルとの国交正常化を目指す「アブラハム合意」への一斉参加を要請したと明らかにし、中東和平構想の拡大を同時に進める考えを示しました。 ただ、パキスタンの関係者は、イランを巡る外交を利用してアブラハム合意を拡大しようとする試みだとしつつも、「両問題は相互に関連するものではなく、関連づけることはできない」と慎重な見方を示しています。

地域情勢では、イスラエルと親イラン武装組織ヒズボラとの対立も激しさを増しています。イスラエルのネタニヤフ首相はビデオメッセージで、イスラエルとヒズボラは「戦争状態」にあると述べ、レバノン東部などにあるヒズボラ拠点への攻撃を強化する方針を表明しました。 イスラエルによる軍事行動の拡大は、イランやその同盟勢力との対立をさらに先鋭化させる恐れがあり、米イラン協議が妥結しなかった場合には、中東全体で新たな軍事衝突が連鎖的に発生する懸念も指摘されています。 一方、イラン国営テレビは、過去24時間に複数の船舶や石油タンカーが革命防衛隊海軍の許可を得てホルムズ海峡を通過したと伝えており、同国が依然として海峡の「管理権」を主張している実態も浮かび上がっています。

ホルムズ海峡の安全確保と核問題、さらにイスラエルとアラブ諸国の関係正常化が複雑に絡み合う中、米イラン双方がどこまで歩み寄れるかが、今後の中東情勢と世界のエネルギー安全保障を左右する重要な焦点となっています。

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