
特殊詐欺の被害金をより早く追跡し、被害回復につなげるため、警察庁は「メガバンク」など大手銀行9行と連携協定を結び、銀行口座のオンライン照会と凍結を迅速化する新たな枠組みを導入します。 都道府県警が不審な送金記録を把握した際、従来は文書郵送やファクスを通じて銀行に照会していたため、回答に数日から数週間を要し、その間に犯罪グループ側が資金を別口座に移すケースが少なくありませんでした。 6月1日に運用開始される新システムでは、警察庁を経由してオンラインで口座情報を一括照会し、最短で当日中に送金先口座の残高や取引履歴などの回答を得られるようになります。 これにより、被害金が残っているうちに口座を凍結し、返金手続きや捜査に速やかに移行できると期待されています。
協定に参加するのは、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、セブン銀行、楽天銀行、イオン銀行、SBI新生銀行、ゆうちょ銀行の9行です。 警察庁は、今後はインターネット専業銀行や地方銀行などにも参加を呼びかけ、対象範囲の拡大を図る方針を示しています。 特殊詐欺では、被害者が振り込んだ資金が短時間で複数の口座を経由し、マネーロンダリングに利用される手口が一般化しており、資金移動のスピードに行政側の対応が追いついていないとの指摘がありました。 新たな枠組みは、警察と銀行の情報連携をオンラインで一元化することで、この時間差を縮める狙いがあります。 警察庁は、迅速な口座凍結が二次被害の抑止や犯罪グループの摘発に大きな効果をもたらすとしており、今後の運用状況を踏まえた制度改善も検討するとしています。
被害者保護と実務への影響 現場捜査や金融機関の対応がカギ
新たな協定は、被害者の金銭的回復だけでなく、現場捜査や銀行実務にも影響を与えるとみられます。 都道府県警は、不審な送金を把握した段階で速やかに照会手続きを行う必要があり、犯罪インフラとして使われる口座を早期に特定することで、組織的な詐欺グループの全体像解明につなげたい考えです。 一方で、銀行側もオンライン照会への迅速な回答体制を整備するとともに、誤凍結や取引への過度な影響を避けるため、内部の審査や確認プロセスの精度向上が求められます。
近年は、SNS投資詐欺や架空料金請求など多様な詐欺が横行し、一度の被害額が高額化する傾向にあります。 被害者の中には、老後資金や生活費の大半を失うケースも報告されており、資金の一部でも早期に回復できるかどうかは生活再建に直結する課題です。 警察庁は、今回のオンライン照会スキームと、銀行が独自のモニタリングで把握した不審取引情報を警察へ共有する既存の協定を組み合わせることで、未然防止から事後回復まで一体的な対策を進める考えを示しています。 今後は、対象金融機関の裾野を広げつつ、利用者への注意喚起や振り込め詐欺等の啓発も強化し、デジタル化が進む金融取引環境の中で、どこまで被害を食い止められるかが問われる局面になっています。












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